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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 11, 2004
Vol. 350 No. 11

  • 早期乳癌に対するタモキシフェンを用いた初期治療後のエキセメスタンとタモキシフェンの比較
    Exemestane versus Tamoxifen after Initial Tamoxifen Therapy for Early Breast Cancer

    早期乳癌に対するタモキシフェンを用いた初期治療後のエキセメスタンとタモキシフェンの比較

    この大規模無作為試験では,閉経後女性における早期乳癌の標準的補助療法である 5 年間のタモキシフェン(エストロゲン受容体阻害剤)療法と,2~3 年間のタモキシフェン療法後に,5 年間の残りの期間,アロマターゼ阻害剤であるエキセメスタンで治療を行う療法とを比較した.無病生存率は,エキセメスタン群でタモキシフェン群よりも有意に優れていた.
    この試験は,異なる作用機序をもつ抗エストロゲン剤を逐次的に用いることで,タモキシフェンのみで治療を行った女性で生じる,治療耐性の問題を回避できる可能性があることを示している.

    • 食事要因と痛風のリスク
      Dietary Factors and the Risk of Gout

      高プリン食や高蛋白食の摂取は痛風の危険因子であり,乳製品の摂取は予防因子であると考えられている.この研究は,ベースライン時に痛風の既往がない男性 47,150 例において,痛風の危険因子と考えられる食事要因と痛風の発生率との関係を 12 年間前向きに調査し,新たな症例を 730 例確認した.
      今回の研究結果は,肉類または魚介類の摂取によって痛風リスクが上昇するのに対し,乳製品の摂取によってリスクが低下する可能性があることを示している.

      • 片頭痛の急性期治療のためのカルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体拮抗薬 BIBN 4096 BS
        Calcitonin Gene-Related Peptide Receptor Antagonist BIBN 4096 BS for Acute Treatment of Migraine

        カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は,大脳と硬膜の血管を拡張するが,片頭痛の患者で脳の CGRP 濃度が上昇していることが明らかにされたことから,片頭痛の原因である可能性がある.この無作為対照試験では,片頭痛患者はプラセボよりも CGRP 受容体拮抗薬 BIBN 4096 BS に高い奏効率を示した(27% 対 66%).
        今回の概念実証試験では,CGRP 受容体拮抗薬を片頭痛に対する有効な急性期治療薬として報告している.しかしこれらのデータは,臨床診療にただちに関連するものではない.

      • CLINICAL PRACTICE

        • 光線過敏
          Photosensitivity

          30 歳の白人女性が,72 時間にわたり腕と胸部に瘙痒性皮疹を呈している.この夏 3 度目の皮疹で,毎回,午前中にスイミングプールのそばで 30 分足らず過ごしたあと,夕方に出現した.女性に日光過敏の既往はなく,薬剤は使用していない.皮疹,瘙痒とも改善しているが,女性は依然として不快感を訴えている.この女性をどのように評価し,治療すべきであろうか?

        • B 型肝炎ウイルス感染
          Hepatitis B Virus Infection

          B 型肝炎ウイルス感染

          この総説では,B 型肝炎ウイルスの構造と複製サイクルを検討し,初感染の自然経過,ウイルス消失の機序,持続感染の原因について論じている.ウイルスに関する既知の事実やウイルスが肝炎を引き起す仕組みについての考察,そして治療への影響で締めくくられている.

        • CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

          • 腹痛および発熱を呈し膵臓部に腫瘤を有する男性
            A Man with Abdominal Pain, Fever, and a Mass in the Region of the Pancreas

            28 歳のモロッコ人男性が,10 日間の心窩部痛および 2 日間の右上腹部痛と発熱のために入院した.診察では,筋性防御と反跳痛を伴う右上腹部圧痛がみられた.画像検査では,膵頭部あるいはその近傍に複雑な嚢胞性腫瘤が認められた.

          SOUNDING BOARD

          • データ・安全性モニタリング委員会
            Data Safety and Monitoring Boards

            データ・安全性モニタリング委員会は,多くの臨床試験でその計画の一部として含まれている.この“Sounding Board”では,臨床試験を早期に終了する決定や,ある治療法が他の治療法よりも有効であるという証拠があるにもかかわらず試験を続行するという決定を下すさいに,委員が直面する倫理的問題について述べている.