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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
May 13, 2004
Vol. 350 No. 20
ORIGINAL ARTICLES
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ホモシステインと骨粗鬆症
Homocysteine and Osteoporosisホモシスチン尿症はまれな常染色体劣性疾患である.この疾患の患者は血漿ホモシステイン濃度の異常高値を特徴とし,骨粗鬆症や骨折の発症率が高い.この知見に基づき,著者らは,正常な加齢に関連したホモシステイン濃度と骨粗鬆症による骨折との関連性を検討した.自然対数変換したホモシステイン濃度が 1 SD 増加するごとの,骨粗鬆症による骨折の多変量補正相対リスクは 1.4(95%信頼区間 1.2~1.7)であった.
ホモシステイン濃度の高値は,高齢者において,骨粗鬆症による骨折の独立した強い危険因子である. -
高齢者における大腿骨頸部骨折の予測因子としてのホモシステイン
Homocysteine as a Predictive Factor for Hip Fracture in Older Personsこの論文では,フラミンガム研究の参加者を対象に,総ホモシステイン濃度と大腿骨頸部骨折のリスクとの関連性について検討している.追跡期間の中央値は男性 12.3 年,女性 15.0 年であった.大腿骨頸部骨折の年齢調整発生率は,ホモシステイン濃度の最低四分位群から最高四分位群まで漸増した.大腿骨頸部骨折のリスクは,最高四分位群の男性では約 4 倍増大し,女性では 1.9 倍増大した.
ホモシステイン濃度は食事療法による介入で容易に改善可能であるが,高齢者においては,大腿骨頸部骨折の重大な危険因子である可能性がある. -
結腸癌に対する腹腔鏡補助下切除術と開腹切除術の比較
A Comparison of Laparoscopically Assisted and Open Colectomy for Colon Cancer腹腔鏡補助下結腸切除術の施行に伴う不適切な切除や再発癌の可能性に関する懸念から,結腸癌に対する腹腔鏡補助下手術と開腹手術を比較するこの無作為試験が行われた.試験には,48 の病院の 863 例の患者と 66 人の外科医が参加した.癌の再発率,手術合併症の発生率,生存率は 2 群で同程度であった.
この多施設共同試験の結果は,腹腔鏡補助下手術は,癌の再発率を上昇させることなく,結腸癌に対する開腹手術の代替法として認容できることを示唆している.
SPECIAL ARTICLE
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潜伏結核の治療における優先事項
Priorities for the Treatment of Latent Tuberculosisこの研究では,ツベルクリン反応陽性の米国人における結核再燃の生涯リスクを,公表されているデータから推定した.ツベルクリン反応で 10 mm 以上の硬結を伴い,ヒト免疫不全ウイルス感染または結核治癒所見がある人では,生涯リスクは 20%以上である.
潜伏感染の治療は,米国の結核撲滅戦略の重要な目標であり,リスクがもっとも高いグループの治療が最優先となる.潜伏結核の治療が推奨される人たちのリスクを認識することで,そのような人たちの治療遵守が向上する可能性がある.
MEDICAL PROGRESS
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自己免疫性多腺性内分泌不全症
Autoimmune Polyendocrine Syndromesこの総説では,自己免疫性多腺性内分泌不全症の発症機序,範囲,治療について考察している.この症候群を構成する疾患には,甲状腺自己免疫疾患やセリアック病のようによくみられる疾患もあるが,アジソン病や重症筋無力症のようにまれな疾患もある.
多発性の自己免疫疾患と診断された患者は,特定の遺伝的症候群を有し,そのほかの自己免疫疾患を併発するリスクが高く,リスクの高い血縁者がいる可能性もある.これらの可能性を認識することで,早期診断・早期治療が促されるであろう.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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両側の精巣に腫脹を呈する男性
A Man with Bilateral Testicular Enlargement31 歳の男性が,2 ヵ月にわたり精巣の腫脹に気付いていた.腫脹の症状は変動し,痛みは伴わなかった.女性化の徴候はなく,ヒト絨毛性ゴナドトロピンの β サブユニット濃度および α-フェトプロテイン濃度は正常であった.討議者らは,若年成人における精巣腫脹の鑑別診断,診断の確定に必要な検査,そして最終的に診断された異常病変の治療について概説している.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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連鎖球菌性中毒性ショック症候群
Streptococcal Toxic Shock Syndrome最近の研究は,化膿連鎖球菌(streptococcus pyogenes)のビルレンス因子が,どのようにして白血球を活性化し,最終的に宿主の組織に損傷を与えるかを示している.