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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 24, 2004
Vol. 350 No. 26

ORIGINAL ARTICLE

  • COPD における末梢気道閉塞の特性
    The Nature of Small-Airway Obstruction in COPD

    COPD における末梢気道閉塞の特性

    生理学的観察から,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者では,末梢気道が主な気道閉塞部位であることが示されている.さまざまな程度の気道閉塞を有する COPD 患者から切除された気道標本を詳細に検討したこの病理学的研究では,気道壁組織の量が気流障害の程度と密接に関連していた.
    この研究は,COPD の基礎生物学に関する理解を深めるものである.

  • 末期腎疾患の患児の長期生存率
    Long-Term Survival of Children with End-Stage Renal Disease

    オーストラリアとニュージーランドの大規模な登録データを解析し,末期腎疾患で,腎機能代行療法開始時の年齢が 20 歳未満であった小児および青年の長期生存率を算出した.生存率は,治療開始後 10 年の時点で 79%,20 年の時点で 66%であった.40 年にわたる研究期間中,生存率は改善に向う傾向があった.
    小児における移植実施率を上げることと,転帰を改善することが,生存率をさらに向上させるうえで可能性のもっとも高い,2 つの戦略である.

  • 皮膚乳頭腫に対する α-ラクトアルブミン・オレイン酸
    α-Lactalbumin-Oleic Acid for Skin Papillomas

    α-ラクトアルブミン・オレイン酸は人乳に由来する蛋白と脂肪の複合体であるが,組織培養で,正常細胞に影響を与えずにウイルス形質転換細胞を死滅させることが偶然発見された.この in vivo の研究では,α-ラクトアルブミン・オレイン酸を局所投与したところ,従来の治療に抵抗性を示す皮膚乳頭腫さえも退縮した.
    この研究結果から,形質転換した培養細胞に対してアポトーシス様作用を示すオレイン酸と α-ラクトアルブミンの分子複合体が,皮膚のウイルス形質転換細胞に in vivo で作用するという説が証明された.

  • 冠動脈ステント留置後の葉酸療法
    Folate Therapy after Coronary Stenting

    血管形成術を受けた患者で,血漿ホモシステイン濃度を低下させるための葉酸補給により再狭窄率が低下することを示した研究があるが,その結果は一貫性に欠けている.今回の研究では,冠動脈ステント留置術を受けた患者を,プラセボ投与群,または葉酸,ビタミン B6,ビタミン B12 の併用投与群に無作為に割付けた.積極的な治療を受けた患者では,ステント内再狭窄の発生率が高かった.
    冠動脈ステント留置後の葉酸療法は,規定の治療法として推奨できるものではない.

BRIEF REPORT

  • 小児の筋肥大に関連するミオスタチンの変異
    Myostatin Mutation Associated with Muscle Hypertrophy in a Child

    小児の筋肥大に関連するミオスタチンの変異

    筋疾患は,後天性,先天性共によくみられるため,筋肉の発育や維持について理解を深めることは,今後の治療にとって重要である.ミオスタチンは筋肉の発育を抑制する.この研究者らは,筋肥大で力の異常に強い小児に認められた,ミオスタチン遺伝子の変異を報告している.
    この小児の臨床的表現型から,ミオスタチンはヒトの筋肉量の調節に重要であることが示唆される.

CURRENT CONCEPTS

  • 慢性閉塞性肺疾患の管理
    Management of Chronic Obstructive Pulmonary Disease

    慢性閉塞性肺疾患の治療の目標は,症状を緩和し,生理機能異常を改善させ,ガス交換異常などの合併症や疾患の増悪を抑制することである.この総説では,現行の指針を概説し,肺機能評価,予防策,段階的な薬物治療,肺リハビリテーション,外科治療などの,管理に関する提言を行っている.この疾患で症状が発現するときには,ほとんどの患者で努力性肺活量がすでに約 50%低下している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 経腟分娩後に骨盤底弛緩を呈した女性
    A Woman with Pelvic-Floor Relaxation after Vaginal Delivery

    女性が,2 度目の経腟分娩の直後に,骨盤の圧迫感と腟の膨張感を担当医に訴えた.検査では,子宮脱,膀胱瘤,直腸瘤が認められた.ペッサリーと運動による保存的管理にもかかわらず,子宮脱は悪化し,尿症状が発現した.妊娠,経腟分娩,子宮脱,尿失禁のあいだに関連性はあるのであろうか? また,この病態をどのように管理すべきであろうか?

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 腫瘍抑制因子を微調整する
    Tweaking a Tumor Suppressor

    腫瘍抑制蛋白 p53 は,さまざまな癌の大部分で変異している.最近の研究により,p53 を標的とした治療法が考案される可能性に期待が集まっている.