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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
January 29, 2004
Vol. 350 No. 5
ORIGINAL ARTICLE
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ヒトメタニューモウイルスと小児の気道疾患
Human Metapneumovirus and Respiratory Tract Disease in Children下気道疾患に罹患した小児を対象とした大規模な前向き研究において,他の病原ウイルスについて陰性であった検体 248 例中,49 例(20%)でヒトメタニューモウイルスが同定された.感染していた小児の平均年齢は 11.6 ヵ月で,59%が細気管支炎の症状を呈していた.このウイルスが無症候性の小児から単離されることはほとんどなかった.
ヒトメタニューモウイルス感染は乳幼児の気道感染の主な原因である.この感染による疾患の大半は 12 月~4 月に発生する. -
可溶性 TREM-1 と肺炎の診断
Soluble TREM-1 and the Diagnosis of Pneumonia骨髄細胞に発現する誘発性受容体(TREM-1)は,細菌の存在によりアップレギュレーションを受ける.気管支肺胞洗浄液中に可溶性 TREM-1 が存在することは,人工呼吸を受け,細菌性肺炎や真菌性肺炎の疑いのあった患者 148 例において,肺炎のもっとも有力な独立した予測因子であった.
前向き評価をさらに行う必要があるが,この迅速診断検査は,人工呼吸を受けている患者の肺炎の診断に,高い感度と特異度を有すると考えられる. -
閉経後骨粗鬆症の女性におけるラネリック酸ストロンチウムと脊椎骨折
Strontium Ranelate and Vertebral Fractures in Women with Postmenopausal Osteoporosisラネリック酸ストロンチウムは経口投与で活性のある薬物であり,骨形成(骨粗鬆症で低下するが,持続する)から骨吸収(骨粗鬆症で亢進)を解離させる.脊椎骨折の経験がある,骨粗鬆症の閉経後女性 1,649 例を対象としたこの無作為プラセボ対照試験では,ラネリック酸ストロンチウム投与を受けた被験者のほうが,新たに脊椎を骨折する割合が少なかった――3 年間でのリスクの低下は 41%であった(相対リスク 0.59;95%信頼区間 0.48~0.73).
ラネリック酸ストロンチウム療法は安全かつ有効であると考えられ,骨粗鬆症の閉経後女性において,脊椎骨折リスクを早期かつ持続的に低下させる. -
滲出性収縮性心膜炎
Effusive-Constrictive Pericarditis滲出性収縮性心膜炎は,心臓の緊縮が原因となる緊張性の心膜液貯留と臓側心膜の異常との組み合せを特徴とする.心膜液を除去することで心膜腔内圧は低下するが,右心房や左心室の拡張末期圧は低下しない.
一部の症例では自然消失する可能性もあるが,それ以外の症例では心臓の緊縮を治療するために広範な心膜切除術が必要である.
CLINICAL PRACTICE
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A 型肝炎ワクチン
Hepatitis A Vaccine34 歳の男性が,インド旅行から帰国して 2 週間後に救急診療部を受診し,食欲不振,嘔吐,倦怠感,疲労,暗色尿が 6 日間続いていると訴えた.アラニンアミノトランスフェラーゼ値 7,330 U/L,ビリルビン値 8 mg/dL で,A 型肝炎の IgM 抗体に対する血清検査は陽性であった.男性は経過観察と水分補給のために入院した.男性は出発前に A 型肝炎の予防接種を受けるべきであったのだろうか? そして,男性と接触した家族はワクチン接種を受けるべきであろうか?
REVIEW ARTICLE
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テストステロン補充療法
Testosterone-Replacement Therapyテストステロン補充療法により高齢男性が利益を得る可能性があることを示唆する報告もあるが,その適応については依然として多くの議論がある.テストステロン療法に関連するリスク,とくに前立腺癌を引き起す可能性に関しては理論上懸念があり,そのため大規模試験や長期試験は開始されていない.この論文は,テストステロン補充療法のリスクについて知られていること(および知られていないこと)について論じており,テストステロン療法を受けている男性のモニタリングを推奨している.