The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 23, 2004
Vol. 351 No. 13

ORIGINAL ARTICLE

  • 腎機能不全と心筋梗塞後の心血管系の転帰
    Renal Dysfunction and Cardiovascular Outcomes after Myocardial Infarction

    臨床上明らかな腎不全は,心筋梗塞後の不良な予後と関連することが知られている.14,000 人を超える患者を対象としたこの研究では,腎機能不全が,心筋梗塞後の転帰の重要な予測因子であることが示された.この新しい知見は,軽度の腎機能不全でも予後不良の要素となることを示しており,われわれの認識を高めるものである.

  • 慢性腎疾患と死亡,心血管イベント,および入院のリスク
    Chronic Kidney Disease and the Risks of Death, Cardiovascular Events, and Hospitalization

    末期腎疾患により死亡と心血管疾患のリスクが上昇し,専門医療の利用が増加するが,それほど重症ではない腎機能障害が,これらの転帰に及ぼす影響はあまり明らかにされていない.クレアチニン値が測定されている成人を対象としたこの研究では,死亡,心血管イベント,および入院の補正リスクが,糸球体濾過率の推定値と反比例した.
    これらの知見は,慢性腎不全の臨床上・公衆衛生上の重要性を強調するものである.

  • 軽症クループに対するデキサメタゾン
    Dexamethasone for Mild Croup

    このプラセボ対照試験では,救急外来を受診した軽症のクループの小児 720 例を対象に,デキサメタゾン単回投与の有効性を評価した.デキサメタゾン療法は,症状の早期の軽快,睡眠が妨げられる時間の短縮,再受診率の低下に関連していた.
    デキサメタゾン療法が重症クループに対して有効であることは明らかになっている.この試験の結果から,副腎皮質ステロイドによる治療は,クループを患うほぼすべての小児に相応の利益をもたらす可能性が示唆される.またこの治療法により,費用が節約され,保護者の不安も軽減する.長期的な効果があるかどうかは不明である.

SPECIAL ARTICLE

  • 2004 年大統領選挙における医療
    Health Care in the 2004 Election

    2004 年大統領選挙運動における問題の重要度に関する有権者の見解について,最近行われた全米調査では,有権者は医療を,経済と雇用,イラク戦争,テロリズムに続く 4 番目に位置付けた.もっとも関心の示された医療問題は,医療と健康保険の利用可能性と費用の妥当性であった.
    2004 年の大統領選挙において,医療は米国民にとって重要な問題であるが,経済やイラク戦争,テロ攻撃の脅威によってその影は薄くなる可能性がある.

LEGAL ISSUES IN MEDICINE

  • 最高裁判所によるマネージド・ケアの補償責任の制限
    The Supreme Court's Limitation of Managed-Care Liability

    最高裁判所によるマネージド・ケアの補償責任の制限

    2004 年 6 月,米国最高裁判所は,マネージド・ケア機関が,主治医の推奨した治療に対して保険適応を認めないと決定したことで患者に内科的合併症が生じた場合,マネージド・ケア機関に責任はないと裁定した.この論文で Wendy Mariner 氏は,最高裁判所の判決が医師と患者に与える影響について述べている.

CLINICAL PRACTICE

  • ベル麻痺
    Bell's Palsy

    ベル麻痺

    50 歳の健常な男性が,顔の右側が垂れ下がっていることに気付く.診察では,顔面非対称が明白で,唾液の一部が口の右側に溜まっている.目を閉じようとしても,右眼は上転するものの閉じない.右側の歯をみせたり,右頬をふくらませたりすることができない.この患者をどのように評価すべきであろうか? 緊急治療は必要であろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 上肢と下肢に感覚障害を呈する女性
    A Woman with Paresthesias of the Arms and Legs

    37 歳の女性が,最初は手,それから足部と脚部へと,徐々にしびれが出現していることに気付いた.しびれは脚部の脱力と平衡感覚の障害を伴った.15 歳で発症した甲状腺機能低下症を除き,その他の点では健康であった.診察では,足部に振動覚と固有感覚の低下が認められた.診断検査が行われた.