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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 7, 2004
Vol. 351 No. 15

ORIGINAL ARTICLE

  • 頸動脈ステント留置術と頸動脈内膜剥離術の比較
    Carotid-Artery Stenting versus Endarterectomy

    頸動脈ステント留置術と頸動脈内膜剥離術の比較

    重度の頸動脈狭窄があり,脳卒中のリスクが高い患者には,通常,頸動脈内膜剥離術を行う.この臨床試験では,重度の頸動脈狭窄患者を対象に,頸動脈内膜剥離術と塞栓保護デバイス付きステントを用いた頸動脈ステント留置術を比較した.臨床転帰に関して,ステント留置術は,頸動脈内膜剥離術に劣らないことが明らかとなった.したがって,この侵襲性の低い方法は,高リスクの頸動脈狭窄患者に対する代替療法として利用できる可能性がある.

  • 進行前立腺癌に対するドセタキセル+プレドニゾンまたはミトキサントロン+プレドニゾン
    Docetaxel plus Prednisone or Mitoxantrone plus Prednisone for Advanced Prostate Cancer

    転移性ホルモン抵抗性前立腺癌患者の余命はわずか 1 年ほどである.この試験では,1,000 例を超える患者を,標準的化学療法であるミトキサントロン+プレドニゾン,またはドセタキセル(3 週に 1 回または週 1 回)+プレドニゾンのいずれかの投与を受けるよう無作為に割付けた.3 週に 1 回のドセタキセル投与を受けた患者は中央値で約 19 ヵ月生存したのに対し,標準治療群の患者では中央値で 16.5 ヵ月であった.ドセタキセルは,疼痛抑制と QOL の改善にも関連していた.
    これらの結果は,きわめて重篤な前立腺癌患者に,治癒にはほど遠いが,標準的化学療法よりも有益な新しい治療選択肢を与えるものである.

  • 治療抵抗性進行前立腺癌に対するドセタキセル+エストラムスチンとミトキサントロン+プレドニゾンの比較
    Docetaxel and Estramustine versus Mitoxantrone and Prednisone for Advanced Refractory Prostate Cancer

    この大規模無作為試験では,アンドロゲン非依存性転移性前立腺癌患者で,ドセタキセル+エストラムスチン投与とミトキサントロン+プレドニゾン投与を比較した.ドセタキセル+エストラムスチン群の全生存期間の中央値は,ミトキサントロン+プレドニゾン群よりも 2 ヵ月長かった(17.5 ヵ月 対 15.6 ヵ月).
    アンドロゲン非依存性転移性前立腺癌患者の予後はきわめてわるく,標準治療であるミトキサントロン+プレドニゾンでは,疼痛を緩和する程度にすぎない.ドセタキセル+エストラムスチンがもたらす効果は小さいとはいえ,このような患者にはこの治療法を検討すべきである.

  • 慢性 B 型肝炎と進行した肝疾患を有する患者に対するラミブジン
    Lamivudine for Patients with Chronic Hepatitis B and Advanced Liver Disease

    慢性 B 型肝炎と進行した肝線維症あるいは肝硬変を有する患者を対象としたこのプラセボ対照試験では,ラミブジンにより疾患進行の速度が低下した.肝疾患の重症度(Child-Pugh スコアで評価)は,ラミブジン群患者の 3%で上昇したのに対し,プラセボ群患者では 9%であった.肝細胞癌の発生は,ラミブジン投与を受けた患者では,プラセボ投与を受けた患者よりも少ない傾向があった(4% 対 7%).
    この研究では,ラミブジンを用いた継続的な治療により,慢性 B 型肝炎と肝硬変あるいは進行した肝線維症を有する患者において,疾患の進行が遅延し,肝疾患に起因する合併症が減少した.

BRIEF REPORT

  • ヘモグロビン・ジャマイカプレイン
    Hemoglobin Jamaica Plain

    女の乳児が,ヘモグロビン S に関する変異を有する 1 つの対立遺伝子を父親から受け継いだ.通常であれば鎌状赤血球形質のみをもつものと考えられたが,同じ対立遺伝子に体細胞変異を獲得し,鎌状赤血球貧血症を発症した.ヘモグロビンの変異 β 鎖はヘモグロビン・ジャマイカプレイン(hemoglobin Jamaica Plain; Hb JP)と名付けられ,脱酸素状態で鎌状赤血球化を引き起した 2 つの明確な構造欠陥を有していた.

    二重に変異した鎌状赤血球ヘモグロビンはまれである.Hb JP は,脱酸素状態で,ヘモグロビン β 鎖の 2 ヵ所のアミノ酸置換がいかにして分子の作用を大きく変えうるかを説明している.

CLINICAL PRACTICE

  • 大動脈弁閉鎖不全
    Aortic Regurgitation

    大動脈弁閉鎖不全

    軽度の疲労感はあるが,呼吸困難,胸痛,動悸はないと報告している 48 歳の女性に,拡張期雑音が認められる.ドップラーカラー血流超音波心臓検査では,大動脈弁の閉鎖不全により血液の逆流を呈する,大動脈二尖弁が認められる.左室は中程度に肥大し,拡張末期径は 66 mm(39 mm/m2 体表面積),収縮末期径は 46 mm(27 mm/m2),駆出率は 51%である.また,上行大動脈も肥大し,48 mm である.この患者をどのように治療すべきであろうか?