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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

July 22, 2004
Vol. 351 No. 4

ORIGINAL ARTICLE

  • 急性肺損傷・ARDS 患者における呼気終末陽圧の高低の比較
    High versus Low Positive End-Expiratory Pressure in Patients with Acute Lung Injury and ARDS

    急性肺損傷・ARDS 患者における呼気終末陽圧の高低の比較

    呼気終末陽圧(PEEP)を適用することで,呼吸不全患者の動脈血の酸素化が改善することが発見されてから 35 年以上が経過している.この研究では,NIH の助成によるコンソーシアムの研究者らが,PEEP レベルの高低が機械的人工呼吸開始後の生存に及ぼす影響を比較した.どちらの方法にも優位性がないことが明らかになったことを受け,試験は早期に中止された.
    PEEP の使用は人工呼吸管理において重要であるが,PEEP レベルの幅広い範囲内での正確な使用量が,生存に重大な影響を与えることはない.

  • イリノテカン抵抗性の結腸・直腸癌に対するセツキシマブ+イリノテカン
    Cetuximab plus Irinotecan for Irinotecan-Refractory Colorectal Cancer

    セツキシマブは,上皮成長因子受容体に対するモノクローナル抗体である.この無作為試験では,イリノテカン療法に反応を示さなかった進行性結腸・直腸癌患者に,セツキシマブを単独またはイリノテカンとの併用で投与した.抗体と薬物の併用による効果は,臨床的に重要で,抗体単独での効果よりも優れていた.
    この知見は,この抗体の有効性に関する正確な証拠であり,臨床的に意義のある結果である.

  • 加齢黄斑変性に関連する遺伝子変異
    Gene Variant Associated with Age-Related Macular Degeneration

    加齢黄斑変性(AMD)の有病率は高く,米国では約 700 万人が罹患している.しかし,その原因についてはほとんど知られていない.この研究は,フィブリンの変異が AMD に対する感受性に影響を与える可能性を示唆した研究結果を踏まえている.著者らは,細胞外マトリックス蛋白であるフィブリンファミリーのメンバーをコードする 5 つの遺伝子のスクリーニングを行い,フィブリン 5 遺伝子における変異と AMD との関連を見出した.

  • 前庭神経炎に対するメチルプレドニゾロンまたはバラシクロビル
    Methylprednisolone or Valacyclovir for Vestibular Neuritis

    単純ヘルペスウイルスは,前庭神経炎の病態生理に関与しているとされている.このプラセボ対照試験では,前庭神経炎の発症から 3 日以内に開始したメチルプレドニゾロン投与により 1 年後に前庭機能が改善したが,バラシクロビルでは効果は認められなかった.
    メチルプレドニゾロンによる治療は,急性前庭神経炎患者に長期的な利益をもたらす可能性がある.

BRIEF REPORT

  • 後天性低カルシウム尿性高カルシウム血症
    Acquired Hypocalciuric Hypercalcemia

    骨,腎臓,腸管の相互作用に関わる複雑な恒常性システムにより,細胞外カルシウム濃度は比較的限られた範囲内で維持されている.この論文では,カルシウム感知受容体に対する IgG4 自己抗体に起因する,自己免疫性副甲状腺機能亢進症と低カルシウム尿性高カルシウム血症を呈する患者について報告している.患者の高カルシウム血症と副甲状腺ホルモン高値は,グルココルチコイドの投与に反応した.

CURRENT CONCEPTS

  • フラビウイルス脳炎
    Flavivirus Encephalitis

    フラビウイルス脳炎

    西ナイルウイルスは,フラビウイルス属の一種である.フラビウイルス属には蚊が媒介するウイルスが含まれ,世界各地で類似した疾患パターンを引き起す.この血清群に含まれるその他のウイルスとして,セントルイス脳炎ウイルス,マレーバレーウイルス,日本脳炎ウイルス(毎年アジアで何千人もの死者を出す)がある.この総説では,西ナイルウイルス感染の発症機序に重点をおきながら,フラビウイルス脳炎に関するこれまでの知見を概説している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 酸素飽和度の低い女性
    A Woman with Low Oxygen Saturation

    50 歳の女性は,子宮摘出術の入院前検査時に,パルスオキシメータで酸素飽和度が低いことが判明した.女性は以前に,全身麻酔後にチアノーゼを発症したことがあった.診察,X 線検査,肺機能検査,心エコー検査で異常はみられなかった.診断のための検査が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 死,破壊,プロテアソーム
    Death, Destruction, and the Proteasome

    最近の研究で,プロテアソームがアポトーシスを引き起す機構が明らかになった.この過程が,多発性骨髄腫に対する新しい治療法の中心となる可能性がある.