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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 31, 2005
Vol. 352 No. 13

This Week in the JOURNAL

ORIGINAL ARTICLES

  • 女性における低用量アスピリンと心血管疾患
    Low-Dose Aspirin and Cardiovascular Disease in Women

    女性における低用量アスピリンと心血管疾患

    男性では,低用量アスピリンで心筋梗塞が予防されるが,脳卒中は予防されない.健康な女性を対象とした,低用量アスピリンに関するこの大規模試験では,心筋梗塞のリスクは低下しないが,脳卒中のリスクは有意に低下するという,男性とは反対の結果が得られた.この脳卒中リスクの低下は,出血性脳卒中のリスクがわずかに増加したものの,虚血性脳卒中のリスクが低下したことによる.したがって,心血管疾患の予防を目的とした低用量アスピリンは,男性と女性で異なる効果をもつと考えられる.

  • 症候性頭蓋内動脈狭窄に対するワルファリンとアスピリンとの比較
    Comparison of Warfarin and Aspirin for Symptomatic Intracranial Arterial Stenosis

    頭蓋内動脈狭窄に起因する脳卒中や一過性脳虚血発作に対する治療には,通常ワルファリンが使用される.この臨床試験の結果は,この治療法を否定し,ワルファリンにより死亡率が上昇することを示唆するものである.アスピリン(1 日 1,300 mg)が治療法として推奨される.

  • 移植後のカポジ肉腫に対するシロリムス
    Sirolimus for Kaposi's Sarcoma after Transplantation

    腎移植レシピエントで,移植腎は機能しているが皮膚カポジ肉腫に罹患した 15 例において,シクロスポリンの投与が中止され,シロリムス投与が開始された.6 ヵ月以内に,患者全例の皮膚病変がすべて消失した.シクロスポリンからシロリムスに切替えても,移植腎の機能に影響が出ることはなかった.

    シロリムスには,おそらく免疫抑制効果と抗腫瘍効果の両方がある.免疫抑制時に発生するカポジ肉腫やその他の腫瘍を有する腎移植レシピエントにおいて,シロリムスの使用には実際的な利点がある可能性がある.

  • 神経因性疼痛に対するモルヒネ,ガバペンチン,および両剤の併用
    Morphine, Gabapentin, and Their Combination for Neuropathic Pain

    糖尿病性神経障害または帯状疱疹後神経痛の患者を対象とした無作為試験において,モルヒネとガバペンチンの併用投与は,いずれかの薬剤を単独で用いるよりも疼痛管理に優れていた.各薬剤の投与量は,併用投与時のほうが単独投与時よりも少なかった.併用処方で有害作用の重症度が高くなることはなかった.

    これらの知見は,モルヒネとガバペンチンの併用処方による神経因性疼痛の治療は,いずれかの薬剤による単独治療よりも優れていることを示唆して いる.

CURRENT CONCEPTS

  • 爆風による外傷
    Blast Injuries

    爆風による外傷

    テロ攻撃では,ほとんどの場合爆発物が使用される.この総説では,爆風による外傷のメカニズムを解説する.最初の爆風による外傷では,鼓膜破裂,肺損傷,空気塞栓,中空臓器の破裂が生じる可能性がある.また,鈍的外傷,熱傷,有毒物質の吸入,砲弾や建物崩壊に起因する外傷が生じる可能性もある.この論文では,初期の患者の安定化や,爆風による外傷の重症度判定のための戦略と共に,治療法について解説する.

MEDICAL PROGRESS

  • 慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー
    Chronic Inflammatory Demyelinating Polyneuropathy

    慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー

    慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシーは,急性型の炎症性脱髄性多発ニューロパシー(ギラン・バレー症候群)と共通の特徴をもつが,コルチコステロイド,免疫グロブリン静注,血漿交換,免疫抑制薬によって経過が改善する可能性があるため,この疾患であると認識することが重要である.この総説では,この病態の評価に関わる臨床所見,診断基準,診断検査に関する現在の知見と共に,最新の管理法がまとめられている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 下肢に筋力低下と痛みを呈する男性
    A Man with Weakness and Pain in the Legs

    73 歳の男性が,発熱が 3 日間続き,下肢筋に歩行が困難になるほどの痛みと筋力低下を呈したため,入院した.男性は,数ヵ月前からアトルバスタチンの投与を受けており,最近コッド岬とサウスカロライナ州を旅行した.軽度の白血球減少と血小板減少,クレアチンキナーゼ値の上昇がみられた.診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 筋萎縮性側索硬化症 ― 古くからある薬剤の新しい役割
    Amyotrophic Lateral Sclerosis — A New Role for Old Drugs

    FDA の認可を受けた薬剤をスクリーニングしたところ,セフトリアキソンおよびその他のβラクタム系抗菌薬が,筋萎縮性側索硬化症(ALS)や他の神経障害の治療薬候補として確認された.ALS モデルマウスを用いた実験の結果は,この仮説を支持し,セフトリアキソンは ALS の発症遅延にも利用できる可能性があることを示唆している.