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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 7, 2005
Vol. 352 No. 14

ORIGINAL ARTICLE

  • 再生不良性貧血における TERT 遺伝子の変異
    Mutations in TERT in Aplastic Anemia

    再生不良性貧血における <i>TERT</i> 遺伝子の変異

    再生不良性貧血患者の白血球でテロメアの短縮化が認められたことにより,テロメラーゼ複合体の構造を維持する遺伝子の変異の探索が促進された.非血縁患者 7 例において,テロメラーゼ逆転写酵素をコードする遺伝子,TERT の変異が検出された.
    TERT 遺伝子の変異が白血球および口腔粘膜で発見されたことは,特発性再生不良性貧血を発症したこれらの患者が,TERT 遺伝子の生殖細胞系変異を有することを示している.この変異が,他の同定されていない遺伝子や環境要因と共同で作用することで,再生不良性貧血の一因となっている可能性がある.

  • 安定した冠動脈疾患における LDL コレステロールの新たな目標値
    New Target Level for LDL Cholesterol in Stable Coronary Disease

    安定した冠動脈疾患患者では,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を低下させる治療法が有効である可能性があるが,最適な目標値は不明である.この研究では,アトルバスタチン 80 mg/日を用いて LDL コレステロール値を平均 77 mg/dL(2.0 mmol/L)まで積極的に低下させることで,アトルバスタチン 10 mg/日を用いて平均 101 mg/dL(2.6 mmol/L)まで低下させるよりも大きな臨床効果が得られることが示された.これらの結果から,安定した冠動脈疾患患者における LDL コレステロール値の目標値が見直され,診療パターンに影響が出る可能性がある.

  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の市中感染
    Methicillin-Resistant Staphylococcal Infections in the Community

    市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症に関するデータが,ボルティモアとアトランタにおける地域住民をベースとした監視と,ミネソタでの検査室ベースの監視から得られた.2001~02 年のすべてのブドウ球菌感染症のうち,78~20%がメチシリン耐性菌によるものであった.ほとんどの感染は皮膚にみられた.感染患者の 1/4 が入院した.
    特定の危険因子をもたない患者の MRSA 感染症は,地域社会における臨床上重大な問題となっている.

  • メチシリン耐性ブドウ球菌による壊死性筋膜炎
    Methicillin-Resistant Staphylococcal Necrotizing Fasciitis

    1 ヵ所の施設で,15 ヵ月間に 14 例の患者が黄色ブドウ球菌感染による市中獲得性壊死性筋膜炎で受診したことが確認された.患者の年齢の中央値は 46 歳で,危険因子として,現在または過去の注射薬の使用(6 例),過去のメチシリン耐性菌への感染などがあった.4 例には,併存疾患や危険因子は認められなかった.
    患者は全員生存したが,大半が広範な外科的切除や集中治療を必要とした.壊死性筋膜炎は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染の新しい毒性型であると考えられる.

SPECIAL ARTICLE

  • 専門病院と一般病院における 心疾患の治療
    Cardiac Care in Specialty and General Hospitals

    この研究では,心臓専門病院で心血管血行再建術を受けたメディケア患者は,一般病院で同様の治療を受けた患者と比較して,疾患の重症度が低いことが明らかになった.心臓専門病院では未補正の死亡率が低かったが,疾患の重症度と手術件数で補正するとほぼ等しくなった.
    心臓専門病院における死亡率の低さは,患者群がより健康で,病院の手術件数が多いことによると考えられる.

CLINICAL PRACTICE

  • 座瘡
    Acne

    17 歳の少年が,6 ヵ月にわたる座瘡の初回診断と治療のために受診している.診察では,顔と体幹上部に開放面皰,閉鎖面皰,そして多数の紅斑性丘疹と膿疱(50 個以上)が認められる.この患者をどのように治療すべきであろうか?

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 予期せぬことの連続
    One Surprise after Another

    それまでは健康であった 22 歳の男性が,3 日間にわたる間欠的な腹痛を訴えて救急外来を受診した.はじめは軽い痙攣性の腹痛で,次サリチル酸ビスマスによって軽減したが,受診した当日は上腹部中央の激しい痛みで目を覚まし,下痢を 2 回起した.その前の週には喀痰を伴う咳があり,男性は運動耐容能が少し低下していることに気付いていた.