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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 8, 2005
Vol. 353 No. 10

ORIGINAL ARTICLE

  • 化学療法により好中球減少を発症した患者における予防的レボフロキサシン
    Prophylactic Levofloxacin in Patients with Chemotherapy-Induced Neutropenia

    化学療法による好中球減少が 7 日以上持続すると予測された癌患者 760 例のうち,レボフロキサシン(500 mg/日)の投与を受けた患者では,プラセボの投与を受けた患者に比べて発熱(65% 対 85%)ならびに臨床的に確認された菌血症の発症率が低かった.予防的投与の効果は,急性白血病患者と,固形腫瘍ないしリンパ腫の患者で同程度であった.これらのデータは,このような高リスク集団におけるレボフロキサシンの予防的投与を支持している.

  • 固形腫瘍およびリンパ腫に対する化学療法後の抗菌薬の予防的投与
    Antibacterial Prophylaxis after Chemotherapy for Solid Tumors and Lymphomas

    この試験では,固形腫瘍あるいはリンパ腫に対して周期的化学療法を受けている患者で,一過性の重度好中球減少症のリスクがある 1,565 例に,レボフロキサシン 500 mg またはプラセボを 1 日 1 回,7 日間投与した.プラセボ群の 15.2%とレボフロキサシン群の 10.8%で,発熱が少なくとも 1 回みられた(P=0.01).プラセボ群の 21.6%とレボフロキサシン群の 15.7%が,感染症治療のために入院を必要とした(P=0.004).抗菌薬耐性に関する系統的な評価は行われなかった.

  • 血液中の血管内皮前駆細胞と冠動脈疾患
    Circulating Endothelial Progenitor Cells and Coronary Disease

    血液中の血管内皮前駆細胞は骨髄に由来し,血管内皮の統合性を維持していると考えられている.冠動脈疾患患者を対象としたこの研究では,血管内皮前駆細胞数が,心血管の有害な転帰のリスクと負の相関を示していた.したがって,血液中の内皮前駆細胞数は,心リスクの有用なマーカーである可能性がある.

SPECIAL ARTICLE

  • 結核対策における費用節減の可能性
    Potential Savings from Control of Tuberculosis

    高所得国における結核患者の割合の増加は,低所得国からの移住者が原因となっている.研究者らは,決定分析を用いて,直接監視下短期化学療法(DOTS)の結核対策プログラムをメキシコで拡大するために,米国が 3,490 万ドルを投資した場合に得られる効果を推定した.この戦略をとれば,20 年間で結核症例が 2,591 例減少し,米国は正味 1 億 800 万ドルの費用節減ができることになる.

CLINICAL PRACTICE

  • パーキンソン病の初期治療
    Initial Treatment of Parkinsonユs Disease

    62 歳の男性が,左手の間欠的な振戦と左腕の漠然とした不快感を訴え受診した.身体診察では,左手に四肢を動かすと消える程度のわずかな静止時振戦がみられ,左の手首と肘に軽度の硬直があり,左手では指を軽く叩く速度が遅かった.また,歩行時に左腕の振りが小さかった.この男性をどのように評価し,治療すべきであろうか?

DRUG THERAPY

  • 直接的トロンビン阻害薬
    Direct Thrombin Inhibitors

    直接的トロンビン阻害薬(DTI)は,トロンビンと直接結合してその基質との相互作用を阻害する,新しい種類の抗凝固剤である.4 種類の非経口 DTI が FDA の承認を受けている.ヒルジン(hirudin)とアルガトロバン(argatroban)はヘパリン誘発性の血小板減少症の治療薬として,ビバリルジン(bivalirudin)は経皮的冠動脈形成術でヘパリンの代替として,デシルジン(desirudin)は人工股関節置換術における静脈血栓塞栓症の予防薬として認められている.この論文では,この重要な新しいクラスの薬剤に関する臨床データについて述べている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 倦怠感,歩行不安定,錯乱を呈する男性
    A Man with Fatigue, Unsteady Gait, and Confusion

    80 歳の男性が,突然集中力が低下し,その後重度の倦怠感,不眠,ふらつきがみられた.検査では,感染症,自己免疫疾患,毒物への曝露の徴候は認められなかった.男性の認知機能は 2 ヵ月にわたって顕著に低下し,ミオクローヌスと線維束性収縮を発症した.男性の感覚は次第に鈍くなり,死亡した.

SOUNDING BOARD

  • 産学連携の規制 ― 問題の解決か進歩の抑制か?
    Regulating Academic-Industrial Relationships ― Solving Problems or Stifling Progress?

    Thomas Stossel 医師は,科学者と医療用製剤を製造している企業との連携の増加について論じている.