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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
August 4, 2005
Vol. 353 No. 5
ORIGINAL ARTICLE
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西ナイルウイルスに対する供血のスクリーニング
Screening Blood Donations for West Nile Virus2003 年と 2004 年に,米国で行われた西ナイルウイルス RNA に関する供血者の日常検査により,陽性供血者 540 例が同定された.そのうち 67%が IgM 陰性で,感染の可能性がもっとも高かった.陽性供血の割合は,2003 年の 10,000 例中 1.49 例から,2004 年には 10,000 例中 0.44 例へと減少した.
西ナイルウイルスのスクリーニングを目的とした核酸増幅検査を迅速に実施することで,血液供給の安全性が高まる.検査された血液の受血者では,西ナイルウイルス感染例は確認されていない. -
西ナイルウイルスの検査
Testing for West Nile Virus2003 年に,16 例の「ミニプール検体」を用いる核酸増幅検査で,供血 677,603 例について西ナイルウイルスのスクリーニングを行ったところ,3,703 例につき 1 例の割合で陽性供血が同定された(0.027%).2004 年には,一部の地域で,個々の供血を検査する方法により西ナイルウイルス陽性の供血が 32%多く同定された.
この研究は,西ナイルウイルスのスクリーニングをプールした血液検体で行うことにより,何百例もの感染が予防されたが,低レベルのウイルス血症の供血は見落とされていたことを示している. -
女性用の運動能力ノモグラム
An Exercise Nomogram for Women運動能力は,男性と女性の双方において死亡リスクの予測因子の 1 つである.男性では年齢別の予測運動能力に関して多数のデータがあるが,女性に関する基準値は十分に確立されていない.自覚症状が発現しない程度の最大運動負荷試験を受けた無症候の女性 5,721 人を対象とした研究で,女性の運動能力を年齢別予測値と比較するためのノモグラムが開発された.
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交代勤務睡眠障害による過度の眠気に対するモダフィニル
Modafinil for Excessive Sleepiness Associated with Shift-Work Sleep Disorder交代勤務による夜勤労働者の約 10 人に 1 人が,勤務中の重度の眠気に苦しんでいる.この認識によって,交代勤務睡眠障害の人に対する特別な診断基準が開発された.この多施設共同試験では,この症例の定義を満たす患者に,プラセボまたはモダフィニルのいずれかを投与した.睡眠に関する検査値は有意に改善したが,治療を受けた患者には依然としてかなりの眠気がみられた.
モダフィニルで交代勤務睡眠障害患者の作業能力が改善するが,眠気の程度が正常に近い状態に戻ることはない.
DRUG THERAPY
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服薬遵守
Adherence to Medication有効な薬剤の多くは,患者が処方された治療レジメンを遵守した場合にのみ十分な効果が得られる.残念なことに,すべての薬剤を所定の時間に服用しない患者に「不遵守(noncompliant,nonadherent)」といった言葉を用いると,医療提供者との関係において,以後も患者をそうした目でみることになりかねない.服薬遵守に関するこの総説では,患者ケアにおけるこの重要な側面を評価し,改善するための方法を概説している.
CURRENT CONCEPTS
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血液塗抹標本による診断
Diagnosis from the Blood Smear血液塗抹標本検査は,この自動分析の時代にあってなお,重要な診断ツールである.専門家が血液塗抹標本を検査することで,誤りを発見し,診断を確定することが可能になり,偶然,有用な発見がなされる可能性もある.有用な血液塗抹標本のアトラスがスライド形式で www.nejm.org に掲載されており,利用可能となっている.
CLINICAL PROBLEM-SOLVING
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診断の混乱
A Fractured Diagnosis44 歳の女性が軽い転倒の直後に右大腿部の疼痛を訴え,救急外来を受診した.女性は右大腿骨頸部骨折と診断され,整形外科病棟に入院して手術を受けることになった.入院の 6 ヵ月前には下肢痛が発現して,徐々に悪化していた.女性は,体重が 30 kg 減少し,倦怠感があると報告した.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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変形性関節炎に欠かせない酵素
An Enzyme Critical to Osteoarthritisアグレカナーゼは軟骨を破壊する酵素で,薬物標的の候補として興味深い.2 種類のマウスモデルを用いた研究によって,単独のアグリカナーゼが,変形性関節炎における軟骨の侵食を媒介することが示されている.