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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 4, 2006
Vol. 354 No. 18

ORIGINAL ARTICLES

  • バルーン血管形成術とニチノールステント留置の比較
    Balloon Angioplasty versus Nitinol Stents

    浅大腿動脈病変に対するステンレススチール製ステント留置は,後に臨床的に不成功に終る割合が高いことから,バルーン血管形成術が実施されることが多い.この無作為化試験では,ニチノールステントを使用した場合,バルーン血管形成術を行った場合よりも,6 ヵ月と 12 ヵ月の時点で再狭窄の発生率が低く,トレッドミルでの運動能力が優れていた.

  • ビリルビン高値の小児
    Children with Elevated Bilirubin Levels

    著者らは,新生児期の総ビリルビン値が 25 mg/dL 以上の小児において,神経発達上の転帰を評価した.総ビリルビン値はおおむね 30 mg/dL 未満で,ほとんどが光線療法による治療を受けていた.平均年齢 5 歳の時点で,対照群と比較して,これらの小児で神経発達上の異常な転帰や,神経学的異常に関する診断記録が多くみられるということはなかった.これらのデータは,この研究で検討された範囲内のビリルビン値の上昇は,神経発達上の有害転帰をもたらす可能性が低いことを再確認するものである.

  • CD19 遺伝子の変異に起因する抗体欠損症候群
    An Antibody-Deficiency Syndrome Due to Mutations in the CD19 Gene

    血縁関係のない 2 家族の患者 4 例において,CD19 遺伝子の変異が検出された.患者は,感染感受性が高く,低ガンマグロブリン血症を呈し,血液中の B 細胞数は正常であった.CD19 は,B 細胞表面にみられる蛋白質で,抗原による B 細胞活性化に関与する他の蛋白質と複合体を形成する.

BRIEF REPORT

  • T 細胞欠損症患者における遺伝性の体細胞 CD3ζ 突然変異
    Inherited and Somatic CD3ζ Mutations in a Patient with T-Cell Deficiency

    ウイルス,細菌,真菌への感染感受性が非常に高い小児が,CD3ζ 遺伝子の常染色体劣性突然変異を受け継いでいることが判明した.CD3ζ は T 細胞受容体と CD3 複合体の成分であり,T 細胞の分化と活性化に不可欠である.

SPECIAL ARTICLE

  • ファミリービジネス ― 教育すること
    The Family Business ― To Educate

    第 115 回年次 Shattuck 講演では,2005 年度講演者である Dr. Ronald Arky が,医学教育の歴史と科学について考察し,現在のまとまりのない状況について論じると共に,医学生涯教育の再編を呼びかける.

CLINICAL PRACTICE

  • 血栓性血小板減少性紫斑病
    Thrombotic Thrombocytopenic Purpura

    40 歳で肥満の黒人女性に,脱力と心窩部痛が数週間続き,下痢と嘔吐が 4 日間続いている.身体所見は腹部圧痛を除いて正常であり,急性疾患を発症しているようにはみえない.ヘマトクリット値は 25%,血小板数は 10,000/mm3 である.末梢血塗抹標本では,破砕赤血球と多染性赤血球が散在していた.血清クレアチニン値は 1.1 mg/dL(97.2 μmol/L),ビリルビンは 2.5 mg/dL(42.8 μmol/L),乳酸脱水素酵素は 722 U/L(正常値<250)である.この症例をどのように管理すべきであろうか?

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 診断を取り囲む“輪”
    Ring around the Diagnosis

    オハイオ州の田園地帯に住む 71 歳の退職教師が,倦怠感,発熱,食欲不振,悪寒,発汗が 2 週間続いたため,地元の病院を受診した.咳嗽はなく,上気道,消化管,尿路にも症状はなかった.