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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 18, 2006
Vol. 354 No. 20

ORIGINAL ARTICLES

  • HER2/neu とアジュバント化学療法に対する反応性
    HER2/neu and Responsiveness to Adjuvant Chemotherapy

    HER2 遺伝子が増幅している乳癌女性では,アントラサイクリン系薬剤を含むレジメンを用いたアジュバント療法に対して,アントラサイクリン系薬剤を含まない組み合せの化学療法よりも反応が良好であった.HER2 が増幅していない腫瘍を有する女性では,アントラサイクリン系薬剤を含むレジメンに有用性は認められなかった.

  • 未熟児無呼吸発作に対するカフェイン投与
    Caffeine Therapy for Apnea of Prematurity

    未熟児無呼吸発作のある超低出生体重児において,カフェイン投与により,月経齢 36 週目における気管支肺異形成のリスクが減少した.カフェインにより体重増加が一時的に低下したものの,死亡,超音波検査上の脳損傷の徴候,壊死性腸炎のいずれの発生率にも影響はなかった.これらの短期データから,この集団におけるカフェイン投与の重要な有用性が証明されたが,その有用性とリスクの最終的な評価については,このコホートの長期追跡結果が待たれる.

  • 常染色体優性多発性嚢胞腎における進行性の容積拡大
    Progressive Volume Increase in Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease

    常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は,嚢胞が多数形成され,腎臓が除々に肥大することを特徴とする.高窒素血症のない ADPKD 患者を対象に,3 年間にわたって,MRI に基づく手法により総腎容積,総嚢胞容積,イオタラム酸クリアランスの変化率を測定した.腎肥大の割合が高いほど,腎機能がより急速に低下した.

  • 聴覚障害の早期発見後の言語能力
    Language Ability after Early Detection of Hearing Impairment

    著者らは,永続的な両側聴覚障害の小児において,発見および確認時の年齢を基に転帰を評価した.全新生児を対象としたスクリーニングを受けた小児と生後 9 ヵ月までに聴覚障害が確認された小児では,スクリーニングを受けなかった小児や生後 9 ヵ月以降に聴覚障害が確認された小児よりも,言語能力検査の成績は優れていたが,発話能力スコアに有意差はみられなかった.このデータは,永続的な小児両側聴覚障害の早期発見と介入が有益であることを支持している.

CLINICAL PRACTICE

  • 急性膵炎
    Acute Pancreatitis

    56 歳の女性に,激しい心窩部痛と嘔吐が 14 時間続いている.これらの症状は,前日の夕食後間もなく発現したという.女性に飲酒歴はなく,薬剤は使用しておらず,膵炎の家族歴もない.身体診察では心拍数 110 回/分で,中等度の心窩部圧痛が認められるが,腹膜刺激徴候は認めない.白血球数 16,500/mm3,ヘマトクリット値 49%である.アミラーゼ値,リパーゼ値,アラニンアミノトランスフェラーゼ値,乳酸脱水素酵素値は上昇している.カルシウム,アルブミン,トリグリセリド,電解質の値は正常である.詳細な評価と治療をどのように行うべきであろうか?

CURRENT CONCEPTS

  • 言語習得前難聴の発見
    Detection of Prelingual Hearing Loss

    新生児の聴覚障害を発見するための,全出生児を対象としたスクリーニングプログラムの実施によって,乳児の聴覚障害が発見される例は飛躍的に増加している.近年,言語習得前難聴の特徴と原因に対する理解がすすみ,技術も進歩したことから,このようなプログラムがよりいっそう改善される可能性が示唆されている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 急激な腹部膨隆をきたした女性
    A Woman with Sudden Onset of Abdominal Distention

    46 歳の女性が腹水,右上腹部不快感,悪心,嘔吐を急激に発症した.血清・腹水アルブミン勾配は 1.2 g/dL であった.静脈造影では,下大静脈の肝内部分に狭窄が認められ,肝静脈は描出できなかった.追加の診断検査が行われた.