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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 1, 2006
Vol. 354 No. 22

ORIGINAL ARTICLE

  • 急性肺塞栓症に対するマルチスライス CT
    Multidetector Computed Tomography for Acute Pulmonary Embolism

    マルチスライス CT 血管撮影(CTA)の精度について,単独使用と,骨盤および大腿の静脈相との組み合せ(CTA-CTV)で評価した.急性肺塞栓症の診断における基準検査と比較して,CTA-CTV は,CTA 単独よりも感度が高く,特異度は CTA 単独と同等であった.

  • 小児における心停止
    Cardiac Arrest in Children

    院内で心停止をきたした小児患者のうち,心室細動または心室頻拍が原因である例は約 1/4 にすぎず,その他の原因は除細動が不可能なものであった.転帰は,心室細動または心室頻拍が心停止の初期に発生した場合にもっとも優れており,蘇生中にあとから発生した場合は,もっとも不良であった.

  • BMI と胃食道逆流症の症状
    Body-Mass Index and Symptoms of Gastroesophageal Reflux

    肥満は,胃食道逆流症の危険因子として知られている.看護師健康調査(Nurses' Health Study)に登録されている女性 10,000 例以上において,BMI は,正常体重と過体重の女性いずれにおいても,胃食道逆流症の症状と関連していた.体重増加は,ベースラインの BMI が正常な女性でさえ,逆流症状と関連していた.

SPECIAL ARTICLE

  • メディケアの薬剤費給付の上限がもたらす予期せぬ結果
    Unintended Consequences of Medicare Drug-Benefit Caps

    この研究は,2003 年にカイザーパーマネンテ(Kaiser Permanente)のマネジドケア・プログラムに加入していたメディケア患者で,年間薬剤費給付の上限が 1,000 ドルに設定された個人保険か,雇用者からの補填があり上限のない保険に加入していた患者を対象にした.薬剤費給付に上限を設けることで,薬剤にかかる費用は低下したが,入院費は高くなり,総費用は同等であった.上限が 1,000 ドルの患者では,薬物療法の遵守や,血圧・血中脂質値・血糖値の管理が不良であった.

CLINICAL PRACTICE

  • パニック障害
    Panic Disorder

    最近離婚した 30 歳の女性に,胸痛,息切れ,発汗,動悸が連日認められる.女性はこれらの症状が起ると強い不安を感じ,心臓発作ではないかと心配になるという.女性は,次第に社会的活動を避けるようになったと報告しており,不機嫌,睡眠不足,気力低下を訴えている.薬剤は服用しておらず,薬物の使用やアルコール摂取もしていないという.身体診察所見は正常である.この症例をどのように管理すべきであろうか?

CURRENT CONCEPTS

  • 24 時間血圧測定
    Ambulatory Blood-Pressure Monitoring

    血圧はもともと変動しやすいものであり,24 時間の血圧測定値は,従来の診察室での測定値よりも,臨床転帰のすぐれた予測因子となる.24 時間血圧測定は,白衣高血圧や,夜間に血圧が正常に低下しない患者の発見に役立つことがある.24 時間血圧測定は実用的で,医療費の削減につながる可能性がある.また,真の血圧がより推定しやすくなり,治療方針の決定の指針となる可能性がある.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 既成概念にとらわれずに考える
    Thinking outside the Box

    進行した AIDS の 35 歳の男性が,失神発作を目撃され,救急部を受診した.男性は浴室から自室の椅子まで歩いたあとに,頭のふらつきを感じた.男性は,パートナーと会話中に突然無反応になり,運動性緊張が消失した.呼吸が浅く苦しそうに見えたため,パートナーは 911 に通報した.男性は約 2 分後に意識を取り戻したが,この間の記憶がなかった.強直間代発作や発作後錯乱の徴候はなかった.