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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 23, 2006
Vol. 354 No. 8

ORIGINAL ARTICLE

  • 変形性膝関節症に対するグルコサミンと硫酸コンドロイチン
    Glucosamine and Chondroitin Sulfate for Knee Osteoarthritis

    この 24 週間の試験では,変形性膝関節症患者の疼痛管理において,グルコサミンと硫酸コンドロイチンは単独・併用いずれの場合も,プラセボと比較して有効ではなかった.しかし,副次的解析では,中等度~重度の変形性関節症患者のサブグループで,グルコサミンと硫酸コンドロイチンの併用投与を受けた患者では,プラセボ投与を受けた患者よりも痛みが軽減する可能性が高かった(79% 対 54%).

  • 乳癌に対するドセタキセルとビノレルビンの比較
    Docetaxel or Vinorelbine for Breast Cancer

    早期乳癌の補助療法として,ドセタキセルとビノレルビンのいずれかを用いるこの無作為化比較試験では,HER2 陽性乳癌の女性を,化学療法と併用して短期コースのトラスツズマブ療法を実施する群と実施しない群とに無作為に割付けた.ドセタキセルはビノレルビンよりも優れていた.HER2 陽性乳癌の女性では,3 年の時点での無再発生存率は,トラスツズマブ投与群のほうが非投与群よりも高かった.意外なことに,化学療法+トラスツズマブの併用投与は,心毒性作用とは関連しなかった.

  • 骨密度の低い閉経後女性におけるデノスマブ
    Denosumab in Postmenopausal Women with Low Bone Mineral Density

    破骨細胞分化促進因子(RANKL)は,破骨細胞の分化,活性化,生存に必須である.骨密度の低い閉経後女性を対象としたこの研究は,RANKL を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体デノスマブにより,アレンドロン酸と同様,プラセボに比べて骨密度が上昇し,骨吸収が低下したことを示している.このことから,デノスマブは,骨粗鬆症治療薬としてさらに研究する価値があると考えられる.

  • 機能性ディスペプシアにおけるイトプリド
    Itopride in Functional Dyspepsia

    機能性ディスペプシア患者を対象としたこの無作為化試験では,アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有するドパミン D2 受容体拮抗薬,イトプリドの 8 週間投与は,プラセボに比べ,ディスペプシア症状の管理により効果的であった(無症状または症状が著明に改善した患者の割合は,イトプリド 200 mg 1 日 3 回投与群で 64%,プラセボ群で 41%).プロラクチン値は,(関連する症状を伴わずに)イトプリド 200 mg 1 日 3 回投与群で 21%,プラセボ群で 5%上昇した.

CLINICAL PRACTICE

  • 変形性膝関節症
    Osteoarthritis of the Knee

    過体重の 66 歳の女性が,この数ヵ月間で両膝が徐々に痛み出し,次第に活動を妨げるようになったと訴えている.前の週には,階段を下りているときに膝が抜け,転倒しそうになったという.膝を負傷した記憶はなく,朝のこわばりや膝以外の関節の痛みはない.強力アセトアミノフェン錠(1 錠 500 mg)の服用を 1 日最大 8 錠試みたが効果はなく,潰瘍や胃出血は起していない.この患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 尿失禁を呈し膀胱内に腫瘤を有する 71 歳の女性
    A 71-Year-Old Woman with Urinary Incontinence and a Mass in the Bladder

    最近尿失禁を起した 71 歳の女性に,骨盤内の両側付属器腫瘤と膀胱内腫瘤が発見された.移行上皮癌と診断され,膀胱切除術と化学療法による治療が勧められたが,患者はセカンドオピニオンを求めた.患者は,22 年前に乳癌を発症した以外は健康であった.診断検査が行われた.

SOUNDING BOARD

  • 手術の質を改善するための戦略
    Strategies for Improving Surgical Quality

    支払者は外科治療を改善するために,3 通りの戦略を推進している.拠点施設(COE)方式は,患者を,術後合併症の発生率と手術死亡率が低い医師や病院へ案内する.実績に対する報酬の支払い方式は,たとえば抗菌薬の術前投与など,手順の改善に対し金銭的インセンティブを与える.参加に対する報酬の支払い方式では,病院と外科医が協同して治療の質を改善できるようにするために,支払者が資金を提供する.著者らは,参加に対する報酬支払い方式が,手術の質を改善する可能性がもっとも高いとしている.