- 目 次
-
This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
December 7, 2006
Vol. 355 No. 23
ORIGINAL ARTICLE
-
心筋梗塞の亜急性期における完全閉塞に対する冠動脈インターベンション
Coronary Intervention for Total Occlusion in the Subacute Phase of Myocardial Infarction閉塞冠動脈に関する試験(OAT)において,登録の 3~28 日前に ST 上昇型心筋梗塞を発症し,梗塞責任冠動脈の閉塞が確認された患者 2,166 例を,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)群と薬物療法群に無作為に割り付けた.4 年の時点での死亡,心筋梗塞の再発,NYHA 分類 IV 度の心不全の推定発生率は,PCI 群で 17.2%,薬物療法群で 15.6%であった.これらの結果から,現在心筋サルベージが可能であると考えられている期間を経過したあとには,閉塞した梗塞責任冠動脈を開通させるために PCI を施行すべきでないことが示唆される.
-
慢性骨髄性白血病に対するイマチニブ
Imatinib for Chronic Myeloid Leukemia構成的に活性化した BCR-ABL チロシンキナーゼは,慢性骨髄性白血病(CML)の原因である.イマチニブは,慢性期 CML に臨床活性を示す BCR-ABL チロシンキナーゼの最初の低分子合成阻害薬である.この試験では,イマチニブを用いた継続的治療を開始した CML 患者を 5 年間追跡し,イマチニブにより患者の大部分で持続的な血液学的反応と細胞遺伝学的反応が誘導されることを報告している.
-
抗菌薬関連大腸炎における Klebsiella oxytoca
Klebsiella oxytoca in Antibiotic-Associated Colitisこの研究では,6 例の患者が抗菌薬関連出血性大腸炎と診断されたが,Clostridium difficile は陰性であった.うち 5 例は K. oxytoca 陽性であった.ラットにおいて,アモキシシリン・クラブラン酸の投与と K. oxytoca の接種により出血性大腸炎が認められたことから,K. oxytoca が抗菌薬関連出血性大腸炎の原因となる可能性が明らかになった.
-
ロシグリタゾン,メトホルミン,グリブリドの単剤療法による血糖コントロールの持続性
Glycemic Durability of Rosiglitazone, Metformin, or Glyburide Monotherapyこの無作為化二重盲検比較試験では,2 型糖尿病患者の初期治療薬としてのロシグリタゾン,メトホルミン,グリブリド(グリベンクラミド)を評価した.ロシグリタゾンは,治療失敗(主要転帰)のリスクを,メトホルミンと比較して 32%,グリブリドと比較して 63%低下させた.これら薬剤のリスクの可能性,利益,費用はすべて,2 型糖尿病患者に薬物療法の選択肢を伝えるさいの一助として考慮すべきである.
CLINICAL THERAPEUTICS
-
慢性 C 型肝炎に対するペグインターフェロンとリバビリン
Peginterferon and Ribavirin for Chronic Hepatitis C44 歳の慢性 C 型肝炎の女性に,断続的な倦怠感と,血清アラニンアミノトランスフェラーゼ値の持続的上昇がみられる.ペグインターフェロンとリバビリンによる治療が勧められる.この 2 つの薬剤の併用投与により,持続的なウイルス抑制と肝臓の組織学的所見の改善が期待できるが,治療による副作用と不成功例も多い.
MECHANISMS OF DISEASE
-
骨髄増殖性疾患
The Myeloproliferative Disorders主なフィラデルフィア染色体陰性骨髄増殖性疾患である真性赤血球増加症,本態性血小板血症,骨髄線維症の患者において,JAK2 遺伝子の同一の変異(V617F 変異)が発見されたことで,これらの疾患に対する理解が大きく前進した.この総説では,この発見から得られた知見と,骨髄増殖性疾患の原因,相互関係,管理に関するわれわれの見解がどのように変化したかを概説している.
CLINICAL PROBLEM-SOLVING
-
いろいろな症状を総合して考える
Sum of the Parts36 歳のパキスタン人女性が,喀痰を伴わない咳,呼吸困難,発熱が 10 日間続くため救急部を受診した.女性は,寝汗はなく,結核患者を含めて病人との接触はなかったと報告している.女性は 1 週間前に予約なしでクリニックを受診し,気管支炎の疑いでモキシフロキサシンを処方されていたが,症状は続いていた.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
-
メシル酸イマチニブと心臓
Imatinib Mesylate and the Heartメシル酸イマチニブは,うっ血性心不全に対する感受性を増大させる特定のシグナル伝達経路に影響を与える可能性がある.