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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 28, 2006
Vol. 355 No. 26

ORIGINAL ARTICLE

  • ICU におけるカテーテル関連血流感染の減少
    Decreasing Catheter-Related Bloodstream Infections in the ICU

    カテーテル関連血流感染に関連した罹患率はかなり高い.ミシガン州において,集中治療室(ICU)におけるカテーテル関連血流感染を減少させるために,州規模のイニシアチブが実施された.介入の内容は,手指の洗浄,中心静脈カテーテル留置のさいのフルバリアの予防措置,クロルヘキシジンによる皮膚の清拭,可能な場合は大腿部へのカテーテル使用の回避,不要なカテーテルの抜去などを含む,簡易なものであった.試験介入の実施後,1,000 カテーテル・日当りの感染率の中央値は,研究期間全体を通してベースラインの 2.7 件から 0 件へと減少した.

  • HER2 陽性進行乳癌に対するラパチニブ+カペシタビン併用投与
    Lapatinib plus Capecitabine for HER2-Positive Advanced Breast Cancer

    トラスツズマブは,ヒト上皮成長因子受容体 2(HER2)の細胞外領域に対するヒト化モノクローナル抗体であり,HER2 陽性乳癌に有効である.この無作為化臨床試験では,トラスツズマブ投与後に再発した HER2 陽性進行乳癌の女性において,HER2 の経口阻害薬であるラパチニブとカペシタビンの併用投与は,カペシタビン単独投与よりも優れていることが示された.この結果は,HER2 陽性乳癌の初期治療としての,ラパチニブの臨床試験の実施を促進するであろう.

  • 先天性 QT 延長症候群の遺伝学的解析
    Genetic Analysis of Congenital Long-QT Syndrome

    常染色体優性遺伝の QT 延長症候群は,カリウムチャネル遺伝子の変異に起因し,心室性不整脈や突然死をきたす.この遺伝学的解析によると,その変異は,メンデルの遺伝法則で予測されるよりも高頻度で子孫へ伝達することが示された.さらに,その変異は母親から娘へ,息子へよりも高頻度で伝達するため,女性で多発する.

BRIEF REPORT

  • ヒトにおける Trypanosoma evansi 感染
    Trypanosoma evansi Infection in Humans

    ヒトにおける Trypanosoma evansi の最初の感染例が,最近インドで同定された.この報告では,感染の原因は寄生因子ではなく宿主にあったことが示されている.具体的には,患者の血清では,アポリポ蛋白 L-I の両方の対立遺伝子のフレームシフト変異によって,トリパノソーマに対する溶解活性が欠損していた.

  • 劣性遺伝の致死性骨形成不全症における軟骨関連蛋白の欠損
    Deficiency of Cartilage-Associated Protein in Recessive Lethal Osteogenesis Imperfecta

    I 型コラーゲンの変異により引き起される典型的な骨形成不全症は,常染色体優性疾患である.しかし,常染色体劣性遺伝型も長いあいだ疑われてきた.著者らは,コラーゲンの翻訳後修飾であるプロリン 3-ヒドロキシル化に必要な軟骨関連蛋白の欠損が,原発性のコラーゲン欠乏がみられなかった 3 例の乳児における,常染色体劣性遺伝の骨形成不全症と関連していることを明らかにしている.これらのデータは,I 型コラーゲンのプロリン 3-ヒドロキシル化が,骨形成にとって重要であることを示唆している.

CLINICAL PRACTICE

  • 意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症
    Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance

    重大な病歴のない 58 歳の男性に,定期的な血液化学検査で総蛋白値の上昇(8.1 g/dL)が認められた.男性は無症候性で,身体診察でも異常は認められなかった.血清蛋白電気泳動では,γ 領域の M スパイクは 2.1 g/dL であった.免疫固定法では,モノクローナル IgG k 蛋白が示された.どのような追加検査が必要であろうか? 意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)と診断されると仮定して,この患者の経過をどのように追跡すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 貧血と HDL コレステロール低値を呈する64 歳の男性
    A 64-Year-Old Man with Anemia and a Low Level of HDL Cholesterol

    3 年前から貧血のある 64 歳の男性に,定期検査で血清高比重リポ蛋白(HDL)低値が認められた.冠動脈系のリスク比は 9.8 であった.HDL コレステロール値はこの 3 年間正常であった.診断検査が行われた.