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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 29, 2007
Vol. 356 No. 13

  • 乳癌の診断を受けて間もない女性における対側乳房の MRI 評価
    MRI Evaluation of the Contralateral Breast in Women with Recently Diagnosed Breast Cancer

    片側乳癌の診断を受けた女性の 10%には,視触診とマンモグラフィ検査が陰性であっても対側乳癌がある.この研究では,片側乳癌の診断を受け,視触診とマンモグラフィ検査では陰性であった女性の対側乳房に対する MRI 検査の実施について検討した.MRI により,これらの女性の約 3%で対側乳房の潜在癌が発見された.これらの癌はすべて早期癌であり,リンパ節やその他の部位への転移は認められなかった.

    • 冠動脈硬化の進行に対するトルセトラピブの効果
      Effect of Torcetrapib on the Progression of Coronary Atherosclerosis

      この 24 ヵ月間の臨床試験では,コレステリルエステル転送蛋白阻害薬トルセトラピブにより,高比重リポ蛋白コレステロール値が大幅に上昇したにもかかわらず,血管内超音波検査では冠動脈硬化の退縮はもたらされなかったことが観察された.トルセトラピブは血圧の上昇とも関連を示し,この薬剤の研究プログラムはすべて中止されている.

      • 家族性特発性肺線維症における変異テロメラーゼ
        Mutant Telomerase in Familial Idiopathic Pulmonary Fibrosis

        テロメラーゼ酵素の構成要素である hTERThTR の両方に影響を与える変異は,家族性特発性肺線維症と関連しており,そのような変異の保因者は,その家族の中の非保因者よりもテロメアが短い.この所見から,本疾患は肺胞細胞の喪失が引き金となって発症する可能性があることが示唆された.肺胞細胞の前駆細胞は,テロメアの短縮により制限を受ける可能性がある.

        • 喘息に対する気管支熱形成術
          Bronchial Thermoplasty in Asthma

          喘息の増悪の一因は気道平滑筋の収縮である.この比較試験では,気道平滑筋量を減らすための気管支鏡下熱形成術の施行により,中等度~重度の喘息患者において増悪回数が減少した.有害事象の発生率は,治療後 3 週間では,対照患者よりも気管支熱形成術施行患者において高かった.

          • 帯状疱疹予防のための水痘帯状疱疹ワクチン
            Varicella-Zoster Vaccine for the Prevention of Herpes Zoster

            全身状態の良好な 64 歳の男性が,定期検査のためかかりつけの内科医を受診した.ある大規模臨床試験では,水痘帯状疱疹ワクチンにより帯状疱疹の発生率が 51%低下し,帯状疱疹後神経痛の発生率が 67%低下した.男性にこのワクチンを接種すべきであろうか?

            • クロロフルオロカーボンを使用したアルブテロール吸入器の市場撤退
              Withdrawal of Albuterol Inhalers Containing Chlorofluorocarbon Propellants

              モントリオール議定書では,成層圏のオゾン量を減少させるクロロフルオロカーボン(CFC)を利用した器具の使用を制限するよう求めている.アルブテロール(米国外ではサルブタモール)は喘息治療に一般的に使用される薬剤で,CFC を噴霧剤として用いた定量吸入器により噴霧されるが,2008 年 12 月までに米国の市場から撤退することになっている.この総説では,CFC を噴霧剤として用いない定量吸入器によるアルブテロール吸入に関する有益な情報について簡潔に述べ,関連する経済的問題について論じる.

            • CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

              • ボート事故で腹部貫通創を負った 55 歳の男性
                A 55-Year-Old Man Impaled in a Rowing Accident

                55 歳の男性が,スカルを漕いでいたときにエイトのシェル艇と衝突した.大きいほうのボートの舳先が男性の腰部に刺さり腹部を貫通し,男性は水中へと投げ出された.男性は当院へ運ばれ,外傷外科チームが治療に当った.チームメンバーが,外傷を負った腹部,整形外科的損傷,外傷治療システムの役割について論じる.

              CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

              • 肺線維症を分析する
                Parsing Pulmonary Fibrosis

                シグナル伝達分子カベオリン-1 は,モデルマウスでは肺線維症に対して防護作用を示し,トランスフォーミング増殖因子 β1(TGF-β1)の線維化促進作用に対抗する.TGF-β1 がテロメアに与える負の効果は,今週号で報告されている変異テロメラーゼと家族性特発性肺線維症との関連性と一致するものである(1317~26 ページ).