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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 24, 2007
Vol. 356 No. 21

ORIGINAL ARTICLE

  • アスピリンと COX-2 発現の有無による大腸癌のリスク
    Aspirin and Colorectal Cancer in Relation to the Expression of COX-2

    アスピリンの使用に関するデータを報告した 2 つの大規模コホートの参加者から採取した大腸癌 636 例を検討したこの研究では,アスピリンの常用により,アスピリンに阻害される酵素,COX-2 を多量に発現する大腸癌のリスクが低下することが示された.

  • 腹圧性尿失禁を減少させるための Burch 法と筋膜スリング法の比較
    Burch Colposuspension versus Fascial Sling to Reduce Urinary Stress Incontinence

    この多施設共同無作為化臨床試験では,腹圧性尿失禁の女性を対象に,Burch 法(恥骨後式膀胱頸部挙上術)と自家腹直筋膜を用いたスリング法の 2 つの外科手技を比較した.2 年の時点の成功率(尿失禁の全般的評価と腹圧性尿失禁に特異的な評価において)はスリング法群で高かったが,この群では合併症の発生率も高かった.これらの知見は,腹圧性尿失禁の外科的治療における意思決定に影響を与えるものであり,外科的治療に関する無作為化試験の重要性を示している.

  • 院外発生の呼吸窮迫症に対する二次救命処置
    Advanced Life Support for Out-of-Hospital Respiratory Distress

    院外で発生した呼吸窮迫症に対して,二次救命処置の訓練を受けた救急医療隊員から処置を受けた患者では,この訓練を受けていない隊員から処置を受けた患者よりも院内死亡率が低かった.この差の一部は二次救命処置介入によるものと考えられる.このデータが,そのような訓練の幅広い実施を正当化するのに十分であるかどうかは明らかではない.

SPECIAL ARTICLE

  • NICU における症例数と極低出生体重児の死亡率
    NICU Volume and Mortality among Very-Low-Birth-Weight Infants

    極低出生体重児の死亡率は,治療水準が高く症例数の多い新生児集中治療室(NICU)を有する病院と比較して,治療水準が低く患者数が少ない NICU でより高かった.これらのデータから因果関係を証明することはできないが,この結果から,地域における周産期医療の整理統合を図ることは可能であり,それにより極低出生体重児の死亡率が低下する可能性のあることが示唆される.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 病的肥満に対する肥満手術
    Bariatric Surgery for Morbid Obesity

    44 歳の病的肥満の女性が,肥満手術について尋ねている.この手術は,BMI が 40 以上(合併症がある場合は 35 以上)の患者で治療選択肢となる.肥満手術により,体重が大幅に減少し,関連疾患が改善することが示されている.望ましい臨床転帰を得るためには,経験豊富な集学的チームが管理に当ることと,患者が情報を学び長期的管理計画およびセルフケア計画に従うことが必要である.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 縦隔腫瘤を有する男性
    A Man with a Mediastinal Mass

    61 歳の男性が,胸腺腫の管理のため胸部腫瘍部門に紹介された.その 6 週間前に胸痛のため行われた CT スキャンでは,直径 4 cm の縦隔腫瘤が見つかっていた.PET スキャンでは,病変部でトレーサの取込みが高かった.生検検体で,WHO 分類で B1 型の胸腺腫であることが明らかになった.身体診察では異常はみられなかった.管理に関する決定がなされた.

HEALTH LAW, ETHICS, AND HUMAN RIGHTS

  • 最高裁と中絶権
    The Supreme Court and Abortion Rights

    ゴンザレス 対 カーハート(Gonzales v. Carhart)事件において最高裁は,医師が中絶のための処置を行うことは,たとえ医師が女性の健康を守るためにその手術が必要であると考える場合でも禁止されうるとする判決を,5 対 4 で下した.著者は,この判決が患者と医師に及ぼす重大な影響について論じている.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 日焼けと p53
    Tanning and p53

    皮膚が紫外線に曝露すると,プロオピオメラノコルチン(メラニン前駆物質)が合成される.最近の研究で,p53 がこの過程に関与していることが示唆されている.