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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です．

February 1, 2007
Vol. 356 No. 5

  • 大気汚染と心血管イベント
    Air Pollution and Cardiovascular Events

    65,000 人以上の女性を対象としたこの前向き研究において，微細粒子による大気汚染は，心血管イベントおよび心血管系が原因の死亡のリスク増加と関連することが明らかになった．大気汚染，とくに細かい微粒子状物質が，健康に重大かつ有害な影響を及ぼすというエビデンスの数がふえており，この所見はそれに加わるものである．

    • 新規 JAK2 変異と赤血球増加症
      New JAK2 Mutations and Erythrocytosis

      Janus kinase 2 遺伝子（JAK2）の V617F 変異は，真性多血症の患者の大半と，本態性血小板血症または特発性骨髄線維症の患者の多くでみられる．この変異は，JAK2 蛋白質の細胞質チロシンキナーゼによる未制御のシグナル伝達を引き起す．著者らは，V617F 変異をもたない真性多血症または特発性赤血球増加症の患者における，JAK2 エクソン 12 における新規変異について述べている．エクソン 12 変異は，JAK2 による未制御のシグナル伝達を誘導し，特徴的な骨髄増殖症候群を特徴付けると考えられる．

      • ICU 終末期患者の親族に対するコミュニケーション法と情報パンフレット
        A Communication Strategy and Brochure for Relatives of Patients Dying in the ICU

        集中治療室で愛する家族の死を迎えることは，非常に辛い経験である．この研究で著者らは，終末期患者の家族に対する情報パンフレットの提供と対策的な話し合いを通常の話し合いと比較し，愛する家族との死別から 90 日後に家族が報告した結果を検討した．介入群の家族の結果には，通常の話し合いを行った家族と比べて改善がみられた．

        • BRIEF REPORT

        • 思春期前に発現する女性化乳房とラベンダーオイルおよびティーツリーオイル
          Prepubertal Gynecomastia and Lavender and Tea Tree Oils

          思春期前の男児 3 例に，ラベンダーオイルとティーツリーオイルを含有する製品を局所塗布したところ，女性化乳房が認められた．男児らはそのほかの点では健康で，内因性ステロイドレベルも正常であった．これらの製品の使用を中止すると，女性化乳房は消失した．ヒト細胞株を用いた研究では，いずれのオイルもエストロゲン活性ならびに抗アンドロゲン活性を示すことが示唆され，局所塗布を繰り返すことで思春期前の女性化乳房が引き起されたと考えられる．

        SPECIAL ARTICLE

        • 病院の質の改善における情報公開と Pay for Performance
          Public Reporting and Pay for Performance in Hospital Quality Improvement

          この研究では，情報公開のみを実施している病院と，情報公開と pay for performance の両方を実施している病院とを比較した．質に関する指標における実績は両群ともに改善したが，改善は，pay for performance を採用している病院のほうがやや大きかった．

        CLINICAL THERAPEUTICS

        • 糖尿病に対する吸入インスリン
          Inhaled Insulin for Diabetes Mellitus

          52 歳の 2 型糖尿病の男性がインスリン療法を必要としているため，吸入インスリンの効果が検討されている．吸入インスリンは短時間作用型インスリンで，インスリンの皮下注射と同等の効果をもつことが臨床試験で示されている．しかしいくつかの試験では，吸入インスリンによって，重篤な低血糖がインスリンの皮下注射よりも頻繁に生じている．さらに，この治療法の長期的な安全性は不明である．吸入インスリンは，喫煙者や肺の基礎疾患がある患者には推奨されない．

        CLINICAL PROBLEM-SOLVING

        • 固定観念から離れる
          Anchors Away

          50 歳のアジア人女性が，膝関節より下に結節性紅斑様皮疹がみられたため受診した．皮膚病変に痛みや瘙痒感はなかったが，感覚異常がみられた．女性に発熱，関節痛，およびその他の全身症状はみられなかった．

        CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

        • ハンチントン病のメカニズム
          Mechanism of Huntington's Disease

          ハンチントン病で観察される神経変性には，遺伝子発現を調節する蛋白が重要な役割を果している可能性がある．