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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 15, 2007
Vol. 356 No. 7

ORIGINAL ARTICLE

  • 川崎病の一次治療としての副腎皮質ステロイドパルス療法
    Pulsed Corticosteroid Therapy for Primary Treatment of Kawasaki Disease

    川崎病の患児は冠動脈瘤を発症するリスクがある.この疾患に対する標準的な治療法には,免疫グロブリン静脈内投与とアスピリンがある.この試験では,プラセボと比較して,メチルプレドニゾロンの単回静脈内投与によるパルス療法の追加に標準治療を上回る有益な効果はなく,ルーチンの治療法としては推奨できないことが示されている.

  • 慢性膵炎における膵管の内視鏡的ドレナージと外科的ドレナージの比較
    Endoscopic versus Surgical Drainage of the Pancreatic Duct in Chronic Pancreatitis

    慢性膵炎で膵管の遠位閉塞が認められる患者 39 例を対象としたこの無作為化試験では,外科的ドレナージは,内視鏡的ドレナージよりも疼痛緩和に有効であった.完全または部分的な疼痛緩和が得られたのは,内視鏡的治療群の患者では 32%であったのに対し,外科的治療群の患者では 75%であった.

  • 乳幼児における弱毒生インフルエンザワクチンと不活化インフルエンザワクチンの比較
    Live Attenuated versus Inactivated Influenza Vaccine in Infants and Young Children

    鼻腔内投与のインフルエンザワクチンは,5 歳未満のすべての小児に対するワクチン接種に向けた取り組みにおいて,有用であると考えられる.乳幼児 8,352 例を対象としたこの試験では,症候性インフルエンザの発症率は,弱毒生ワクチンで 5%であったのに対し,筋肉注射による不活化インフルエンザワクチンでは 10%であった.しかし,生ワクチンでは,不活化インフルエンザワクチンと比べて,12 ヵ月齢未満の乳児のあらゆる原因による入院率が高かった.

BRIEF REPORT

  • 癌関連 MLH1 遺伝子の生殖細胞エピジェネティック変異の遺
    Inheritance of a Cancer-Associated MLH1 Germ-Line Epimutation

    MLH1 遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングは,DNA のエラーを修復するもので,遺伝性非ポリポーシス大腸癌の特徴であり,通常は腫瘍細胞でのみ起る.この研究では,この症候群を有し,MLH1 遺伝子で生殖細胞系列のエピジェネティックなサイレンシングを起した 2 例の女性を同定した.うち 1 例ではサイレンシング後の MLH1 対立遺伝子が息子の 1 人に遺伝したが,そのエピジェネティックな変化は息子の精子には現れなかった.遺伝子のエピジェネティックな修飾の生殖細胞遺伝は,癌感受性遺伝子の遺伝の新しい形態である.

CURRENT CONCEPTS

  • 周術期の脳卒中
    Perioperative Stroke

    脳卒中は手術の合併症としてもっとも恐れられているものの 1 つである.この論文では,周術期脳卒中の病態生理を概説し,危険因子の層別化について説明している.また,頸動脈狭窄症の患者を例に,リスク低減に関するガイドラインを示している.さらにこの概説では,周術期における脳卒中の管理についても簡潔に述べている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 人工大動脈弁を有し,倦怠感,呼吸困難,体重減少,発汗を呈する 53 歳の男性
    A 53-Year-Old Man with a Prosthetic Aortic Valve and Fatigue, Dyspnea, Weight Loss, and Sweats

    53 歳の男性が,4 ヵ月間にわたり倦怠感,呼吸困難,体重減少,発汗が悪化したため入院した.男性は 4 年前に重度の大動脈弁閉鎖不全のため大動脈弁置換術を受けたが,その 3 ヵ月後には再発して人工弁の交換が必要となった.今回の入院中の検査では,脾腫と心電図異常が認められた.治療処置が行われた.

HEALTH POLICY REPORT

  • メディケイドを再検討する ― 巨大な公共事業をめぐる小競り合い
    Medicaid Revisited - Skirmishes over a Vast Public Enterprise

    著者らは,2006 年 2 月 8 日に大統領が署名した新法のメディケイド政策について述べている.これは 2005 年の財政赤字削減法の一部であるが,この法令により州は,受給者の負担額の増加,給付金の削減,在宅でも十分なケアが受けられる人のナーシングホームへの入居を拒否することができる.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 濾胞性リンパ腫を解明する
    Figuring Out Follicular Lymphoma

    健常者において t(14;18) 転座をもつ正常な B 細胞は,表層の免疫受容体に刺激されて増殖する可能性がある.