The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 4, 2007
Vol. 357 No. 14

ORIGINAL ARTICLE

  • 地域在住高齢者におけるインフルエンザワクチン接種
    Influenza Vaccination in the Community-Dwelling Elderly

    ワクチンの有効性の推定値を提示するため,この研究ではインフルエンザシーズン 10 季節において,地域在住高齢者の 18 のコホート集団からのデータを解析した.713,872 人・季節の観察対象者において,ワクチン接種は,肺炎またはインフルエンザによる入院のリスクの 27%の減少と死亡リスクの 48%の減少に有意に関連していた.もっとも高リスクの病態の有病率は,ワクチン非接種者よりも接種者のほうが高かった.考えうる未測定の交絡因子の補正後も,利益は維持された.

  • アルツハイマー病の興奮症状の治療におけるドネペジル
    Donepezil for the Treatment of Agitation in Alzheimer's Disease

    興奮はアルツハイマー病患者に多くみられ,患者と介護者の双方に苦痛をもたらす.興奮行動が認められ,心理社会的治療プログラムが奏効しなかったアルツハイマー病患者 272 例を対象としたこの無作為化試験において,ドネペジル(5 mg を 4 週間,10 mg を 8 週間投与)は,興奮の抑制という点でプラセボを上回る効果を示さなかった.

  • 薬剤溶出性ステントの有効性と安全性
    Effectiveness and Safety of Drug-Eluting Stents

    カナダ・オンタリオ州の臨床登録を用いて,薬剤溶出性冠動脈ステント留置患者とベアメタルステント留置患者の転帰を比較した.2 年間の標的血管の血行再建術施行率と 3 年死亡率は薬剤溶出性ステント群のほうが低かったが,2 年の時点の心筋梗塞の発生率は薬剤溶出性ステント群のほうがわずかに高かった(ただし有意ではない).このような管理目的のデータによって薬剤溶出性ステントの有効性と安全性は裏付けられるが,心筋梗塞の遅発の多さは否定できない.

  • 進行腫瘍の発見における CT コロノグラフィと大腸内視鏡検査の比較
    CT Colonography versus Colonoscopy for the Detection of Advanced Neoplasia

    この研究では,連続した患者を,大腸内視鏡検査(OC)または CT コロノグラフィ(CTC)を並行して用いるスクリーニングプログラムに組み入れた.6 mm 以上のポリープが発見された場合は切除のための OC を行った.進行腺腫と癌は,CTC 群では患者の 3.2%,OC 群では患者の 3.4%で発見された.OC 群では,CTC 群よりもはるかに多くのポリープが切除された(2,434 個 対 561 個).これらの知見は,CTC スクリーニングを行うことで,OC スクリーニングと比較して,同等数の進行腫瘍が発見され,切除されるポリープ数がより少ないことを示唆している.

CLINICAL PRACTICE

  • 変形性股関節症
    Osteoarthritis of the Hip

    70 歳の男性が,漸進的に進行する股関節痛を訴えている.疼痛は,約 1 年にわたり男性の活動を制限している.当初は歩行時のみに発生し,股関節の前側に限局されていたが,現在は側面にまで広がり,安静時にも痛みがある.股関節,背部,腰部の損傷歴はなく,ほかの関節に疼痛や朝のこわばりはみられない.イブプロフェン 200 mg を 1 日 1~2 回服用しているが,改善はみられない.この患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?

CURRENT CONCEPTS

  • 「慢性ライム病」の批判的評価
    A Critical Appraisal of “Chronic Lyme Disease”

    「慢性ライム病」の診断は,急性ライム病の既往所見のない患者に,疼痛,倦怠感,認知神経症状が持続する場合の説明に用いられることが多い.この診断が下されると,その後複数の抗菌薬による長期的治療が行われる可能性がある.この総説では,ボレリアの慢性感染の科学的根拠を検討し,慢性ライム病と診断された患者の臨床的評価および管理へのアプローチについて解説する.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 軽視は禁物
    Nothing to Cough At

    73 歳の男性が,夜間に増悪する乾性咳が 4 日間続いたため救急部を受診した.男性に,発熱,悪寒,頭痛,筋肉痛,鼻漏,鼻閉,咽頭痛,喀血,胸部痛,呼吸困難はみられなかった.