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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 6, 2007
Vol. 357 No. 23

ORIGINAL ARTICLE

  • 小児期の肥満と成人期の冠動脈性心疾患
    Obesity in Childhood and CHD in Adulthood

    このデンマークにおける研究では,小児期の体格指数(BMI)は,成人期の冠動脈性心疾患(CHD)イベントと関連していることが示された.この関連は女児より男児で強く,成人期のイベントのリスクは,男女ともに年齢が 7 歳から 13 歳へと上がるにつれて増加した.これらの重要なデータにより,小児肥満の蔓延がもつ公衆衛生上の重大性に注目が向けられるであろう.

  • PM10 への曝露量の減少と加齢による肺機能低下の軽減
    Reduced Exposure to PM10 and Attenuated Age-Related Decline in Lung Function

    スイスのさまざまな地域に居住する人々を対象としたこの長期観察研究では,肺機能の低下率と,直径 10 μm 未満の吸入粒子への曝露量の減少とを関連付けている.粒子曝露量の減少がもっとも大きな地域に居住している人は,肺機能低下がもっとも小さかった.粒子状の汚染物質を除去することは,健康上の利益がある.

  • ディーゼル車の排出ガスへの曝露が喘息患者の呼吸器に与える影響
    Respiratory Effects of Exposure to Diesel Traffic in Persons with Asthma

    実験的に喘息患者をディーゼル排気へ曝露させると,喘息コントロールの低下と一致する生理学的・臨床的変化がみられる.軽症または中等症の喘息患者を対象としたこの研究では,ロンドンの街路を歩いてディーゼル排気に曝露させたところ,近隣の公園内の歩行時と比較して肺機能に生理学的変化が認められた.ディーゼル排気への曝露は喘息の増悪をきたす可能性がある.

  • HIV 感染患者におけるテサモレリンの効果
    Effects of Tesamorelin in Patients with HIV

    この試験では,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者の内臓脂肪蓄積に対する,成長ホルモン放出因子アナログであるテサモレリンとプラセボの 26 週間投与の効果を評価した.患者の 86%が男性であった.テサモレリンの連日投与により,内臓脂肪量が減少し,脂質プロファイルが改善した.テサモレリンによる治療は,治療に関連する中心性脂肪蓄積がみられる HIV 感染患者に対して有効な戦略となる可能性がある.

SPECIAL ARTICLE

  • 思春期の過体重とその後の冠動脈性心疾患
    Adolescent Overweight and Future Coronary Heart Disease

    青年でますます増えている肥満は,冠動脈性心疾患(CHD)の危険因子である.この報告では,思春期の過体重および肥満がその後の CHD リスクに及ぼす影響をモデル化することにより,CHD の症例数が今後大幅に増加することを予測している.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 重度~最重度の聴覚障害児に対する人工内耳植込み
    Cochlear Implants for Children with Severe-to-Profound Hearing Loss

    生後 4 ヵ月の女児が重度の両側性感音難聴と診断され,人工内耳植込みが勧められている.人工内耳は,音を増幅する補聴器とは異なり,蝸牛神経を直接刺激する.この治療法のメリットは植込み時の患者の年齢に左右されるうえ,発話と話し言葉の発達のためには患者と家族が治療に参加することが求められる.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 優れた診断
    The Leading Diagnosis

    23 歳の黒人女性が,1 時間にわたる散在性の仙痛性腹痛のため救急部を受診した.腹痛に続いて吐き気と胆汁性嘔吐がみられ,体位によって放散することも変化することもなかった.患者に発熱,悪寒,下痢,顕血便,下血はなかった.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • うつ病を打倒する
    Down with Depression

    学習性無力感を改善する際に,P 物質とその上流のメディエータである △FosB が重要であることが,うつ病モデルマウスにおける最近の研究で示された.