The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 20, 2007
Vol. 357 No. 25

ORIGINAL ARTICLE

  • TP53 変異のある乳癌間質細胞とリンパ節転移
    Breast-Cancer Stromal Cells with TP53 Mutations and Nodal Metastases

    TP53 遺伝子およびゲノム全体のヘテロ接合性の消失を検討するため,レーザーマイクロディセクションを用いて個々の乳癌の上皮細胞と周辺の間質細胞を病理切片から抽出した.一見正常な間質細胞で遺伝子の変異とヘテロ接合性の消失が確認され,これらの所見はリンパ節転移の存在と関連を示した.この結果は,微小環境の細胞における遺伝子の変化は,腫瘍の拡散を促進することを示唆している.

  • 頭頸部の扁平上皮癌における TP53 変異と生存期間
    TP53 Mutations and Survival in Squamous-Cell Carcinoma of the Head and Neck

    腫瘍抑制蛋白 p53 の遺伝子である TP53 は,癌細胞において変異がもっとも多くみられる遺伝子である.この頭頸部癌に関する研究では,約半数の腫瘍に TP53 の変異が確認された.p53 と標的 DNA との結合を妨げうる突然変異の存在は,生存期間の短縮ともっとも強く関連していた.この結果は,TP53 の破壊的変異が,頭頸部癌患者の死亡に対する独立した危険因子であることを示すものである.

  • 腎移植におけるカルシニューリン阻害薬への曝露量の低減
    Reduced Exposure to Calcineurin Inhibitors in Renal Transplantation

    この試験では,腎移植レシピエントを対象に免疫抑制療法の毒性を検討している.糸球体濾過量,同種移植腎生着,急性拒絶反応の発生率という点で,ミコフェノール酸モフェチル,ダクリズマブ,低用量のタクロリムス,コルチコステロイドの併用療法は,ダクリズマブ導入療法に低用量のシクロスポリンまたは低用量のシロリムスを加えた療法や,導入療法なしの標準用量のシクロスポリン療法と比較して,もっとも効果が高いようであった.

  • 慢性 B 型肝炎患者におけるテルビブジンとラミブジンの比較
    Telbivudine versus Lamivudine in Patients with Chronic Hepatitis B

    慢性 B 型肝炎患者においてテルビブジンとラミブジンを比較したこの無作為化試験では,テルビブジンは,HBeAg 陽性患者で,1 年の時点での奏効率がより高いことと関連した(75.3% 対 67.0%,P=0.005).HBeAg 陰性患者におけるテルビブジンとラミブジンの奏効率は同等であった(それぞれ 75.2%,77.2%;P=0.62).テルビブジンは,クレアチンキナーゼ値の上昇と関連していた.

SPECIAL ARTICLE

  • ホスピタリスト,総合内科医,家庭医によるケアの転帰
    Outcomes of Care by Hospitalists, General Internists, and Family Physicians

    成人入院患者を対象としたこの大規模後ろ向きコホート研究において,ホスピタリストによるケアを受けた患者では,総合内科医または家庭医による治療を受けた患者と比べて入院期間が若干短縮した.しかし,院内死亡率は同等であった.

MEDICAL PROGRESS

  • 固形臓器移植後の感染症
    Infectious Diseases after Solid-Organ Transplantation

    次第に有効性を高めつつある免疫抑制薬は,日和見感染や癌に対する感受性を高める一方で,移植臓器の拒絶反応の発生を著しく減少させている.この論文では,移植に関連した感染症の管理に関する一般的概念を概説し,最近の進歩と課題について論じている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 皮膚病変を有する生後 5 ヵ月の女児
    A 5-Month-Old Girl with Skin Lesions

    生後 5 ヵ月の女児が,発疹のため小児皮膚科を受診した.生後 3 ヵ月の時点で,女児の頬に赤い丘疹が発現し,その後発疹が全身に現れた.女児は皮膚病変を有する以外は健康であった.診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 低分子 RNA と巨大 DNA ウイルス
    Small RNAs and Large DNA Viruses

    ヒトサイトメガロウイルスは,感染細胞の生存を促進し,ナチュラルキラー細胞の攻撃から守ることによってウイルスの存続を可能にする,非コード RNA を生成する.