The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 24, 2008
Vol. 358 No. 17

ORIGINAL ARTICLE

  • 左冠動脈主幹部病変に対するステント留置術とバイパス術の比較
    Stents versus Bypass Grafting for Left Main Coronary Artery Disease

    非保護左冠動脈主幹部病変に対してステント留置術を受けた患者コホートを,冠動脈バイパス術を受けた患者で傾向スコアをマッチさせたコホートと比較した.死亡リスク,および死亡・Q 波心筋梗塞・脳卒中の複合転帰のリスクに,両群間で有意差はみられなかった.標的血管の血行再建術施行リスクは,ステント留置術群のほうが高かった.

  • 突然の心停止に対する家庭での AED の使用
    Home AEDs for Sudden Cardiac Arrest

    多施設共同試験において,前壁心筋梗塞の既往があり,植込み型除細動器の対象とならない患者を評価した.患者を,心停止の管理のため家庭に自動体外除細動器(AED)を備える群と,標準処置を受ける群のいずれかに無作為に割り付けた.中央値 3 年の追跡調査期間で,全死因死亡率に 2 群間で有意差はみられなかった.

BRIEF REPORT

  • ピルビン酸キナーゼ欠乏症とマラリア
    Pyruvate Kinase Deficiency and Malaria

    ピルビン酸キナーゼ欠乏症患者の赤血球は,熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の侵入に対して耐性を有している.このような患者の感染赤血球は,マクロファージにより,対照群の感染赤血球よりも迅速に除去される.これらのデータは,ピルビン酸キナーゼをコードする遺伝子の変異が,マラリアへの耐性を付与する可能性を示唆している.

  • ヨードチロシン脱ヨウ素酵素遺伝子の変異と甲状腺機能低下症
    Mutations in the Iodotyrosine Deiodinase Gene and Hypothyroidism

    甲状腺のヨードチロシン脱ヨウ素酵素をコードする遺伝子 DEHAL1 は,甲状腺ホルモンを合成するためのヨウ素化物の再利用を可能にする.著者らは,血縁関係のない 3 家族から,3 つの特有の変異を有する患者 4 例を同定した.全例に,in vitro でヨードチロシン脱ヨウ素酵素活性の顕著な低下がみられた.患者は,幼児期および小児期から明らかな,重度の甲状腺腫性甲状腺機能低下症に罹患していた.DEHAL1 の欠損している幼児の甲状腺機能は出生時には正常な場合もあるため,新生児スクリーニングプログラムで見逃される可能性がある.

SPECIAL ARTICLE

  • 米国とカナダにおけるエゼチミブの使用
    Ezetimibe Use in the United States and Canada

    エゼチミブは低比重リポ蛋白コレステロールを低下させるが,この薬剤の臨床上の利益を実証した研究はない.しかしながらこの研究では,米国におけるエゼチミブの使用が,カナダに比べ増加したことが示されている.カナダでは処方薬の消費者への直接広告が禁じられている.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 重症熱帯熱マラリアに対するアーテスネート
    Artesunate for Severe Falciparum Malaria

    35 歳の男性が西アフリカ旅行から帰国後,熱性疾患のため受診し,重症マラリアと診断された.アーテスネートによる治療が推奨されている.アーテスネートは,アルテミシニンと呼ばれる抗マラリア薬の 1 クラスに属しており,重症マラリアに対して少なくともキニーネと同等の効果を有し,副作用は少ない.米国では,アーテスネートは米国疾病対策予防センター(CDC)から特別な要請があった場合にのみ入手することができる.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 関節リウマチとリンパ節腫脹を呈する 46 歳の男性
    A 46-Year-Old Man with Rheumatoid Arthritis and Lymphadenopathy

    関節リウマチを有する 46 歳の男性が,食欲不振と全身のリンパ節腫脹のため血液・腫瘍科クリニックを受診した.1 ヵ月前に頸部,腋窩部,鼠径部にびまん性のリンパ節腫脹が発現し,それに伴って咽頭痛と食欲不振が生じたが,体重減少はみられなかった.血清蛋白電気泳動法により,γ 領域の単クローン性スパイクが明らかとなった.診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 肥満細胞と膵癌
    Mast Cells and Pancreatic Cancer

    マウスモデルにおいて,肥満細胞は膵島細胞腫瘍の増殖を促進する.