The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 8, 2008
Vol. 358 No. 19

ORIGINAL ARTICLE

  • 高血糖と妊娠の有害転帰
    Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcomes

    この大規模な国際試験において,妊娠中に血糖値が上昇した場合それが糖尿病の診断値より低くても,児の出生体重が 90 パーセンタイルを超えるリスク,C ペプチド値が 90 パーセンタイルを超えるリスクの増加に加えて,その他の妊娠の有害転帰と有意に関連することが示された.これらの結果は,妊娠中の高血糖の診断と治療に対する現行の閾値を見直す必要があることを示唆している.

  • 妊娠糖尿病の治療のためのメトホルミンとインスリンの比較
    Metformin versus Insulin for the Treatment of Gestational Diabetes

    この非盲検試験では,妊娠糖尿病の治療のためのインスリンとメトホルミン(必要に応じてインスリンを追加)を比較した.新生児合併症の発生率は群間で同等であった.メトホルミン群では,インスリン群の女性よりも,次の妊娠でも今回割り付けられた治療を選択すると答えた女性が多かった.これらの結果は,薬物治療を必要とする女性における妊娠糖尿病の初期治療として,メトホルミンを使用することを支持している.

  • 突然の心停止と早期再分極
    Sudden Cardiac Arrest and Early Repolarization

    早期再分極(QRS-ST 接合部の上昇)を示す心電図パターンは,一般に良性と考えられている.しかしこの研究では,特発性心室細動の既往を有する患者では,対照者と比較して早期再分極の頻度が有意に増加することを見出した.これらの知見から,早期再分極の臨床的意義が再検討されることになるであろう.

BRIEF REPORT

  • カテコールアミン誘発性多形性心室頻拍に対する左心臓交感神経切除
    Left Cardiac Sympathetic Denervation for Catecholaminergic Polymorphic Ventricular Tachycardia

    遺伝性のカテコールアミン誘発性多形性心室頻拍を有する患者 3 例において,心臓交感神経切除を目的とした外科的手技により,再発性の多形性心室頻拍を管理することに成功した.

  • RAG 変異と肉芽腫を伴う免疫不全症
    An Immunodeficiency Disease with RAG Mutations and Granulomas

    この報告は,播種性肉芽腫と RAG1RAG2 組換え活性化遺伝子における複合へテロ接合体変異に関連した免疫不全症を有する,血縁関係のない女児 3 例について述べている.RAG1RAG2 の機能喪失変異を伴う重度の複合免疫不全症とは異なり,この免疫不全疾患では幼児期に重度の感染症がみられなかった.おそらくこれは,RAG 変異によって,リコンビナーゼの活性レベルが低い状態で保たれていたためと考えられる.

MOLECULAR ORIGINS OF CANCER

  • 腫瘍の血管新生
    Tumor Angiogenesis

    腫瘍の増殖が血管に依存するという説は,かつては疑問視されていたが,現在では研究と医薬品開発における大きなテーマとなっている.この総説では,腫瘍の血管新生に関する最近の研究結果について論じ,血管新生を阻害する抗体と薬剤の作用機序について概説する.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 心血管手術に関連したアネルギーと無快感症を呈した 78 歳の男性
    A 78-Year-Old Man with Anergia and Anhedonia Associated with Cardiovascular Surgery

    78 歳の男性が,33 ヵ月にわたるアネルギーと無快感症のため精神科病棟に入院した.症状は腹部大動脈瘤の治療が必要だといわれた直後に始まり,抗うつ薬による薬物療法を複数回試したにもかかわらず持続し,動脈瘤の治療後に悪化した.男性が 58 歳のとき,冠動脈バイパス術後に大うつ病のエピソードが発生したことがあり,電気けいれん療法が奏効した.管理に関する意思決定がなされた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 腫瘍の血管新生を標的とする
    Targeting Tumor Angiogenesis

    抗血管新生薬ベバシズマブの標的は,血管内皮増殖因子である.別の蛋白質である胎盤増殖因子もまた,腫瘍の血管新生の阻止における有望な標的である.