The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 10, 2008
Vol. 358 No. 2

ORIGINAL ARTICLE

  • 敗血症性ショックに対するヒドロコルチゾン
    Hydrocortisone for Septic Shock

    敗血症性ショックを起こした患者に対するヒドロコルチゾンの補助的使用の利益については議論が続いている.この多国間多施設共同二重盲検プラセボ対照試験では,敗血症性ショックを起こした 500 例近い患者に対するヒドロコルチゾンによる補助療法に,臨床的有用性は見出されなかった.コルチコトロピン検査に反応しなかった患者のサブグループにおいても,このような利益はないことが示された.

  • 重症敗血症に対する強化インスリン療法とペンタスターチによる蘇生法
    Intensive Insulin Therapy and Pentastarch Resuscitation in Severe Sepsis

    敗血症性ショック患者に対する最適な血糖コントロールおよび輸液蘇生には課題が残っている.500 例以上の患者を対象としたこの試験では,強化インスリン療法を介した正常血糖維持,およびペンタスターチまたは乳酸リンガー液による最適な輸液蘇生の有益性の可能性を検討した.28 日目の時点での生存率と臓器機能のいずれについても,強化療法群に有益性は認められなかった.強化療法群では重篤な低血糖がより多く認められ,ペンタスターチ群では急性腎不全がより多く認められた.

  • 結節性硬化症およびリンパ脈管筋腫症でみられる血管筋脂肪腫に対するシロリムス投与
    Sirolimus for Angiomyolipoma in Tuberous Sclerosis or Lymphangioleiomyomatosis

    結節性硬化症とリンパ脈管筋腫症は,哺乳類のラパマイシン標的蛋白(mTOR)によるシグナル伝達が構成的に活性化した病態であるが,この非盲検試験では,これらの患者にラパマイシン(現在はシロリムスと呼ばれる)を 1 年間投与し,さらに 1 年間観察を行った.血管筋脂肪腫はシロリムス療法により退縮したが,投与中止後にはほとんどの例で増大した.肺機能は一部の患者で投与後に改善した.mTOR シグナル伝達の抑制は,これらの病態に対する治療として有望である可能性がある.

  • 著明な再分極異常を示すスポーツ選手の転帰
    Outcomes in Athletes with Marked Repolarization Abnormalities

    鍛えられたスポーツ選手 12,550 人のデータベースから,明らかな構造的心疾患はないが著明な心電図異常を示す 81 例を同定した.9 年間の追跡期間中,これらのスポーツ選手の 5 例で心筋症が発生し,うち 1 例は突然死し,1 例は心停止をきたした.心電図が正常なマッチさせた対照被験者 229 人では,心筋症は発生しなかった.

BRIEF REPORT

  • 家族性赤血球増加症における HIF2A 変異
    HIF2A Mutation in Familial Erythrocytosis

    低酸素誘導因子(HIF)α は,赤血球産生,血管新生,細胞の代謝を調節する転写因子である.孤発性赤血球増加症の家族に関するこの研究で,HIF-2α アイソフォーム遺伝子 HIF2A の変異が明らかになった.この変異は,正常酸素状態においてプロリルヒドロキシラーゼドメイン蛋白 2 による蛋白質の水酸化を防ぎ,そのため von Hippel-Lindau 蛋白による正常な分解過程を妨げる.

CLINICAL PRACTICE

  • QT 延長症候群
    Long-QT Syndrome

    13 歳の女児がバスケットボールの最中に突然死し,家族が医学的評価を求めて来院している.女児の両親の安静時心電図は正常だが,9 歳の妹の心電図には QT 間隔の延長がみられる.家族歴において注目すべき点は,母方の祖母の女性血縁者にみられる再発性失神である.この家族をどのように評価し,治療すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 腹痛と低血圧を突然発症した 45 歳の男性
    A 45-Year-Old Man with Sudden Onset of Abdominal Pain and Hypotension

    突然の腹痛の発症とそれに続く低血圧のため,45 歳の男性が救急部に搬送された.男性は,アルコール乱用歴があり肝硬変のほぼ確実例であること以外は,重い物を持ち上げた際に腹部に激痛を覚えた入院の日の朝まで健康であった.地域の医療センターを訪れたところ低血圧が判明し,当院に搬送された.診断と治療のための手技が行われた.