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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 5, 2008
Vol. 358 No. 23

ORIGINAL ARTICLE

  • 2 型糖尿病性腎症に対するアリスキレンとロサルタンの併用
    Aliskiren Combined with Losartan in Type 2 Diabetes and Nephropathy

    この研究では,2 型糖尿病性腎症の患者に対し,最大推奨用量のロサルタンと至適降圧療法に加えて,経口直接的レニン阻害薬アリスキレンまたはプラセボを投与した.アリスキレンは,尿中の平均アルブミン/クレアチニン比の低下と関連した.この直接的レニン阻害薬は,この患者集団において,その降圧作用とは独立に腎臓を保護する可能性がある.

  • 脳損傷を有する小児に対する低体温療法に関する試験
    A Trial of Hypothermia in Children with Brain Injury

    重度の外傷性脳損傷を有する小児を対象に行った低体温療法に関するこの無作為化試験で,重度の障害,遷延性植物状態,死亡は,24 時間にわたり低体温療法を受けた患児の 31%,および対照患児の 22%で発生した.この結果から,低体温療法は,外傷性脳損傷を有する小児に対する有益な治療法ではないことが示唆される.

  • 汚染ヘパリンと接触系の活性化
    Contaminated Heparin and Activation of the Contact System

    最近,12 ヵ国で供給されたヘパリンが,低血圧と,場合によっては死亡の原因となる物質で汚染されていることが判明した.この汚染物質は,過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS)であることが確認されている.この研究は,OSCS がキニン・カリクレイン経路と補体系を活性化し,これにより臨床症候群が生じる可能性があることを示している.

SPECIAL ARTICLE

  • ヨーロッパ諸国における健康の社会経済的格差
    Socioeconomic Inequalities in Health in European Countries

    ヨーロッパ 22 ヵ国における社会経済的状態と健康に関するこの研究において,死亡率は,教育水準が低く収入の少ない集団ほど高く,教育や収入に関連した死亡率の格差の程度には,国ごとにばらつきがあった.死亡率の格差の一部は,治療可能な疾患や,喫煙・アルコール摂取が原因の疾患に起因しており,このことは,健康関連行動や医療へのアクセスが,社会経済的状態が低い集団ほど死亡率が高いことの一因となっていることを示唆している.

DRUG THERAPY

  • 化学療法誘発悪心・嘔吐
    Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting

    化学療法誘発悪心・嘔吐の病態生理に関する新たな知見が得られ,リスクのある患者に対する理解が進み,そして新たな制吐薬が入手可能となったことから,嘔吐のコントロールは大幅に改善された.この総説では,化学療法誘発悪心・嘔吐に関する現在の理解と,その予防と治療における薬理学的介入の状況に焦点を当てる.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • ジョイント・ベンチャー:関節への試み
    A Joint Venture

    59 歳の女性が,6 週間にわたる右膝の疼痛と腫脹のため受診した.症状は杖が必要なほどであった.治療を求めて受診する 2 週間前,左膝に痛みを感じるようになり,その後,左足関節と左手首の疼痛と腫脹が発現した.女性には,疲労と労作時に進行する呼吸困難もみられた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 代謝と治療的血管新生
    Metabolism and Therapeutic Angiogenesis

    モデルマウスにおいて,血管新生と酸化的代謝の両方を促進する分子は,虚血に対して防御作用を示す.