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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 18, 2008
Vol. 359 No. 25

ORIGINAL ARTICLE

  • 卵巣癌における Dicer と Drosha,および転帰有効性
    Dicer, Drosha, and Outcomes in Ovarian Cancer

    Dicer と Drosha は,前駆体分子に始まる RNA 干渉に関与する RNase 酵素である.RNA 干渉により,特定の標的遺伝子の発現がサイレンシングまたは亢進される可能性がある.卵巣癌細胞に関するこの研究では,Dicer と Drosha の発現がともに低い場合予後不良に関連すること,また Dicer の発現低下は,臨床転帰不良に関連する独立した予測因子であることが示された.

  • 院外心停止に対する蘇生時の血栓溶解療法
    Thrombolysis during Resuscitation for Out-of-Hospital Cardiac Arrest

    目撃者のいる院外心停止成人患者を対象としたこの無作為化試験では,患者を,心肺蘇生時に血栓溶解薬のテネクテプラーゼを投与する群と,プラセボを投与する群に割り付けた.心拍再開,生存入院,生存退院,神経学的転帰,30 日生存率について,群間で有意差は認められなかった.テネクテプラーゼ群では頭蓋内出血の発生頻度が高かった.

  • アルフゾシンと慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の症状
    Alfuzosin in Chronic Prostatitis-Chronic Pelvic Pain Syndrome

    この多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験では,過去 2 年以内に慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群と診断され,α アドレナリン受容体拮抗薬による治療歴のない男性において,α アドレナリン受容体拮抗薬アルフゾシンを用いた治療をプラセボと比較した結果,症状は軽減しなかった.この結果は,慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群と診断されて間もない男性に対するアルフゾシン使用を支持するものではない.

  • 汚染ヘパリンに関連する有害反応
    Adverse Reactions Associated with Contaminated Heparin

    米国疾病対策予防センターによるこの疫学調査の報告は,主に透析室で発生した,過硫酸化コンドロイチン硫酸で汚染された未分画ヘパリンが原因の有害反応の集団発生について報告している.汚染物質を特定し,汚染されたロットを回収すれば集団発生は終息するであろうが,今回の集団発生は米国の薬剤供給の安全性における深刻な欠陥を象徴している.

BRIEF REPORT

  • PHD2 変異と,先天性赤血球増加症およびパラガングリオーマ
    PHD2 Mutation and Congenital Erythrocytosis and Paraganglioma

    原因不明の赤血球増加症の男性で,プロリルヒドロキシラーゼドメイン 2 遺伝子(PHD2)に変異があることが判明した.この遺伝子の生成物は,低酸素誘導遺伝子を活性化させる転写因子である低酸素誘導因子(HIF)を調節する.その後,パラガングリオーマの再発がみられた.これらの知見から,PHD2 が腫瘍抑制遺伝子であり,HIF の重要な調節因子である可能性が示された.

MEDICAL PROGRESS

  • 顎関節症
    Temporomandibular Disorders

    この総説では,顎関節症のもっとも一般的な病型である筋筋膜疼痛症候群,関節円板障害,変形性関節症,関節リウマチについて論じている.顎関節症の病因,症状,推奨される診断検査,治療アプローチに関する最新の見解が論じられている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 脾腫と貧血を呈する女性
    A Woman with Splenomegaly and Anemia

    51 歳の女性が貧血と脾腫のため当院に入院した.2 ヵ月前から,疲労,寝汗,下肢の腫脹,労作時の呼吸困難,早期の満腹感がみられるようになった.診察と画像検査により,脾臓が著しく腫大して骨盤上口に達し,それに伴い腹腔内リンパ節もわずかに腫脹していることが明らかになった.また,血清中に IgM パラプロテインが検出され,部分トロンボプラスチン時間が延長していた.診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • β 細胞数を増やす
    Boosting Beta-Cell Numbers

    3 つの転写因子をマウスの膵腺房細胞に導入したところ,インスリンを分泌する β 細胞への分化転換が誘導された.