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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 21, 2008
Vol. 359 No. 8

ORIGINAL ARTICLE

  • スタチン誘発性ミオパチーに関連した SLCO1B1 の変異
    Variants of SLCO1B1 Associated with Statin-Induced Myopathy

    高用量(80 mg/日)のシンバスタチンを服用していたミオパチー患者のゲノムワイドスクリーニングにより,ミオパチーと,有機アニオン輸送ポリペプチドをコードする SLCO1B1 の変異とのあいだに強い関連が示された.ミオパチー症例の約 60%はこれらの変異に起因すると考えられた.この関連は,別の独立した試験で再現された.SLCO1B1 の変異体の遺伝子型を決定すれば,スタチンの用量の個別化と,安全性モニタリングに役立つ可能性がある.

  • 妊娠高血圧腎症とその後の末期腎不全のリスク
    Preeclampsia and the Risk of Later End-Stage Renal Disease

    ノルウェーの健康データ登録を組み合わせることで,妊娠高血圧腎症の既往を有する女性はその後の末期腎不全(ESRD)のリスクが,妊娠中に合併症を起こさなかった女性よりも高いことが示された.妊娠高血圧腎症を伴う妊娠の回数が多かった女性や,妊娠高血圧腎症で低出生体重児または早産児を出産した女性では,その後の末期腎不全の相対リスクが高かった.妊娠高血圧腎症の既往を有する女性において ESRD の絶対リスクは低いが,妊娠高血圧腎症はその後の ESRD 発症リスク増加の指標となる.

  • 若年性関節リウマチに対するアダリムマブ
    Adalimumab in Juvenile Rheumatoid Arthritis

    多関節型若年性関節リウマチで,腫瘍壊死因子モノクローナル抗体であるアダリムマブによる 16 週間の治療への反応が認められたの患児 133 例を対象としたこの無作為化プラセボ対照試験では,アダリムマブ投与を継続した患児のほうが,アダリムマブを投与しなかった患児よりも疾患の再燃が少ないことが示された.重篤な有害事象は 14 例で発現し,このうち 7 例に重篤な感染症が認められた.

SPECIAL ARTICLE

  • 米国における HPV ワクチン接種による健康上・経済上の影響
    Health and Economic Implications of HPV Vaccination in the United States

    著者らは,米国におけるヒトパピローマウイルスに対するワクチン接種の費用対効果の分析を行い,現行のスクリーニングと比較して,12 歳の女児に対するワクチン接種にかかる費用は,質調整生存年(QALY)あたり 43,600 ドルになると推測した.ワクチンによる免疫が 10 年後に減弱した場合,HPV ワクチン接種の費用対効果は大幅に低くなると考えられる(QALY あたり 140,000 ドル超).

CLINICAL PRACTICE

  • 突発的な特発性感音難聴
    Idiopathic Sudden Sensorineural Hearing Loss

    58 歳の健常女性が電話の応対をした際に,左耳の聴力の低下を認識した.左耳の閉塞感と大きな耳鳴があり,女性は市販のキットを用いて自分で耳の掃除を行ったが,症状は軽減しなかった.この女性をどのように評価し,治療すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 頭痛と行動変化を呈する女性
    A Woman with Headache and Behavioral Changes

    26 歳の女性が,頭痛,行動変化,動作の異常,コミュニケーション不能のため当院に入院した.入院の 7 週間前に頭痛が発現し,その後傾眠,気分変動,錯乱,記憶喪失,思考散乱性言語,不随意運動が生じた.感染症に関する評価は陰性であった.画像検査の結果,脳は正常であり,卵巣に類皮嚢腫とみられる腫瘤が認められた.診断手技が行われた.