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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 19, 2009
Vol. 360 No. 12

ORIGINAL ARTICLE

  • 若年成人の心不全における人種差
    Racial Differences in Heart Failure in Young Adults

    若年成人を 20 年間追跡したこの疫学研究では,心不全の発症率は,黒人のほうが白人よりはるかに高いことが示された.成人早期に認められる血圧上昇,肥満,慢性腎臓病,収縮不全は,心不全の重要な先行症状であった.この結果は,心不全の発症には人種的な差があることを強調するものであり,その予防に向けた戦略に大きな影響を与える.

  • サイトメガロウイルス母体感染のワクチンによる予防
    Vaccine Prevention of Maternal CMV Infection

    先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症は,さまざまな新生児疾患を引き起こす.妊娠中の母体感染を防ぐことが,新生児の感染と疾患を最小限に抑えるための戦略として可能性が高い.この無作為化二重盲検プラセボ対照第 2 相試験では,妊娠する可能性のある,CMV に感染していない女性 464 人に対し,CMV のエンベロープ糖蛋白 B ワクチンまたはプラセボを投与した.CMV ワクチン群では,42 ヵ月間における CMV 感染症発生率が 50%低下した.

  • 卵巣機能不全との遺伝的関連
    Genetic Association with Ovarian Insufficiency

    視床下部-下垂体-ステロイド産生系に関与する遺伝子を活性化する核内受容体をコードする遺伝子 NR5A1 の変異は,原発性卵巣機能不全に関連している.

BRIEF REPORT

  • ヒトゲノム疾患における遺伝子補正
    Genetic Compensation in a Human Genomic Disorder

    22q11.2 に広範囲の欠失がみられる場合,口蓋心顔面症候群の原因となる.ある男性では,この欠失がみられるものの症状はみられない.その理由はおそらく,もう一方の染色体にこの領域の重複があるためである.これは,ゲノム重複による遺伝子補正の一例である.

CLINICAL PRACTICE

  • 一酸化炭素中毒
    Carbon Monoxide Poisoning

    管理職に就いている 39 歳の女性に,数ヵ月間にわたる疲労,頭痛,記憶力の衰えがみられた.いつもより調子がわるいと感じ友人に電話したところ,友人が到着した時点で半昏睡状態にあったため,友人は救急車を呼んだ.女性は酸素吸入を受けて救急部へ搬送され,そこで覚醒した.診察で異常は認められなかった.一酸化炭素ヘモグロビン濃度は 18%である.この女性をどのように治療すべきであろうか? また,どのような転帰が予想されるであろうか?

MEDICAL PROGRESS

  • もやもや病
    Moyamoya

    もやもや病は脳血管疾患の 1 つで,その患者は,頭蓋内内頸動脈およびその近位分枝の狭窄の進行に伴い脳卒中を発症しやすくなる.もやもや病に特徴的なもやもや血管に加え,関連症状がみられる症例は「もやもや症候群」として分類される.この総説では,もやもや病ともやもや症候群の人口統計学的特性,発症機序,評価法,治療法について述べている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 大量の直腸出血を呈する男性
    A Man with Massive Rectal Bleeding

    81 歳の男性が,低血圧を伴う大量の急性直腸出血のため当院に入院した.過去 2 年間に直腸出血が 2 回あり,検査で結腸憩室と十二指腸びらんが認められていた.輸液と赤血球の投与にもかかわらず出血は続き,低血圧が持続した.診断手技が行われた.