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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 12, 2009
Vol. 360 No. 7

ORIGINAL ARTICLE

  • 慢性リンパ性白血病の初期マーカーとしての B 細胞クローン
    B-Cell Clones as Early Markers for CLL

    モノクローナル B 細胞リンパ球増加症(MBL)は,血中モノクローナル B 細胞数が 5,000/mm3 未満で,B 細胞リンパ増殖性疾患の他の特徴はみられず,50 歳を超える人口の 3~5%に生じる.一部の症例では,MBL が慢性リンパ性白血病(CLL)に進行することがあるが,MBL が常に CLL に先行して認められるのかどうかは明らかにされていない.この研究では,特定集団の CLL 患者 45 例中 44 例で,CLL と診断される最長 6.4 年前の血液中に,モノクローナル B 細胞クローンが認められた.

  • 心房細動における心血管イベントに対するドロネダロンの効果
    Effect of Dronedarone on Cardiovascular Events in Atrial Fibrillation

    心房細動患者 4,628 例を対象に,抗不整脈薬のドロネダロンとプラセボの比較が行われた.平均 21 ヵ月の追跡調査で,心血管イベントによる初回入院と死亡の発生率は,ドロネダロン群のほうがプラセボ群に比べて有意に低かった.ドロネダロン群では,徐脈,QT 間隔延長,悪心,下痢,発疹,血清クレアチニン値上昇の発生率がより高かった.

  • 閉経前乳癌に対する内分泌療法とゾレドロン酸の併用
    Endocrine Therapy plus Zoledronic Acid in Premenopausal Breast Cancer

    この大規模試験では,早期乳癌の閉経前女性を対象に,補助内分泌療法(ゴセレリンにタモキシフェンまたはアナストロゾールを併用)にゾレドロン酸を追加した場合の有効性を検討した.補助内分泌療法にゾレドロン酸を追加することで,有害事象をそれほど増加させることなく,患者の無病生存期間が延長することが示された.

BRIEF REPORT

  • 短報:CCR5 Δ32/Δ32 幹細胞移植による HIV の長期管理
    Long-Term Control of HIV by CCR5 Delta32/Delta32 Stem-Cell Transplantation

    ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は,細胞に感染するために CD4 受容体とケモカイン補助受容体の CCR5 または CXCR4 に結合する.急性骨髄性白血病の HIV 感染患者 1 例に対し,HIV 感染に抵抗性を示す CCR5 変異体を有する適合ドナーを用いて,同種幹細胞移植を実施した.移植は成功し 20 ヵ月が経過したが,この患者は抗レトロウイルス療法を受けておらず,HIV が検出されない状態を維持している.

SPECIAL ARTICLE

  • 禁煙に対する金銭的インセンティブ
    Financial Incentives for Smoking Cessation

    大企業で働く喫煙者を対象としたこの無作為化比較研究では,禁煙プログラムへの参加と,禁煙が生化学検査で確認された場合に与えられる金銭的インセンティブにより,9 ヵ月後・12 ヵ月後の禁煙率が上昇した(インセンティブ群 15%に対し,対照群 5%).

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 皮疹と下肢のしびれ・疼痛を呈する女性
    A Woman with a Rash and Numbness and Pain in the Legs

    47 歳の女性が,2 年前から下肢のしびれと疼痛が続き,その後間欠的な下肢の腫脹,皮疹が現れたためリウマチ科を受診した.抗核抗体検査は陰性で,皮膚生検では診断が得られなかった.皮膚の診察で下肢全体に斑状の変色と,外果に圧痛を伴う紅斑性の小結節を認め,触診に対する両足の感覚低下が明らかになった.診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • ストレスと炎症性腸疾患
    Stress and Inflammatory Bowel Disease

    細胞ストレスは,小胞体ストレス応答のような経路の活性化により軽減される.この応答の不活性化は,マウスでは実験的大腸炎を引き起こし,ヒトの遺伝学的知見からは炎症性腸疾患との関連が裏付けられている.