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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 1, 2009
Vol. 361 No. 14

ORIGINAL ARTICLES

  • 心不全イベントの予防を目的とした心臓再同期療法
    Cardiac-Resynchronization Therapy for the Prevention of Heart-Failure Events

    心臓再同期療法は,進行した,症状のある心不全患者に推奨されている.この臨床試験では,無症状の患者における有益性が認められたが,死亡率には影響がみられなかったため,無症状の患者を対象とするように臨床ガイドラインが修正されるかどうかは,引き続き見守る必要がある.

  • 軽度妊娠糖尿病に対する治療の多施設共同無作為化試験
    A Multicenter, Randomized Trial of Treatment for Mild Gestational Diabetes

    軽度妊娠糖尿病に対して,治療を行う群と行わない群を比較したこの無作為化試験では,主要転帰(死産または周産期死亡と,新生児の高ビリルビン血症・低血糖症・高インスリン血症・分娩外傷の複合転帰)の頻度に,両群間で有意差はみられなかった.しかし,妊娠期間に比べて体重の重い新生児・肩甲難産・妊娠中の高血圧の発生頻度など,いくつかの副次的転帰が治療によって有意に減少した.

  • 周産期低酸素性虚血性脳症の治療のための中等度低体温療法
    Moderate Hypothermia for Perinatal Asphyxial Encephalopathy

    低酸素性虚血性脳症を有する新生児を対象としたこの無作為化試験では,低体温療法により,主要転帰(死亡または重度の神経発達障害)の発生率に有意な低下はみられなかったが,生存児では,事前に規定した副次的な神経学的転帰のいくつかが改善された.

BRIEF REPORT

  • 肝移植後の胆汁酸輸送蛋白欠損症の再発
    Recurrence of BSEP Deficiency after Liver Transplantation

    胆汁酸輸送蛋白(bile salt export pump:BSEP)欠損症のため肝移植を受けた小児 3 例で疾患が再発し,それに伴って抗 BSEP 抗体の抗体価が上昇したが,免疫抑制療法の強化により寛解が得られた.この結果から,肝移植後の BSEP 欠損症の再発は,移植肝の BSEP に対する免疫反応によって起こる可能性があることが示唆される.

SPECIAL ARTICLE

  • 入院手術に関連した院内死亡率のばらつき
    Variation in Hospital Mortality Associated with Inpatient Surgery

    手術の質改善に関する前向き研究に登録された 84,000 例以上の手術患者を対象としたこの解析では,術後死亡率の高かった病院群における術後合併症の発生率は,そのほかの病院群と比較して同等であったが,合併症が起きた場合の死亡率は高かった.この結果から,死亡率を低下させるには,合併症の予防と並行して,合併症を起こした患者に対する治療の改善が必要であることが示唆される.

CURRENT CONCEPTS

  • 母体および新生児の単純ヘルペスウイルス感染
    Maternal and Neonatal Herpes Simplex Virus Infections

    新生児の単純ヘルペスウイルス(HSV)感染は,原因が 1 型・2 型のどちらであっても,治療しなければ重大な結果をもたらす疾患であり,米国では,妊娠女性の 30%以上に HSV の性器感染がみられる.この総説では,HSV 感染のより効果的な予防法だけでなく,その早期の診断・治療に関する最新情報についてもまとめている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 壁に書かれた不吉な前兆
    The Writing on the Wall

    壁に書かれた不吉な前兆

    52 歳の男性が腹部不快感が 5 週間続いたため救急部を受診した.疼痛は食後に悪化し,悪心と腹部膨満を伴った.受診の 2 週間前,疼痛は臍周囲部に限局されるようになり,早期満腹感と嘔吐を伴った.男性に,発熱,下痢,しぶり腹,下血,血便は認められなかった.

SOUNDING BOARD

  • 患者の安全のために「非難しないこと」と説明責任のバランスをとる
    Balancing “No Blame” with Accountability in Patient Safety

    著者らは,医療過誤の減少に向けて,医療提供システム上の問題を是正して取り組んでいる状況下では,個人の責任の強調が不十分であると主張し,手洗いなどの患者の安全を向上させるための処置を繰り返し怠った医療提供者には,懲罰を与えることを提案している.