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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 22, 2009
Vol. 361 No. 17

ORIGINAL ARTICLE

  • 重症患者に対する持続的腎代替療法の強度
    Intensity of Continuous Renal-Replacement Therapy in Critically Ill Patients

    この多施設共同無作為化試験では,急性腎障害の重症成人患者の 90 日死亡率に対する,強度の異なる 2 つの持続的腎代替療法の効果を比較した.高強度で治療を行っても 90 日死亡率は低下しなかった.

  • 小児における厳格な血圧コントロールと腎不全の進行
    Strict Blood-Pressure Control and Progression of Renal Failure in Children

    この研究では,アンジオテンシン変換酵素阻害薬を一定の高用量で投与されている患児に厳格な血圧コントロールを行い,長期的な腎保護作用を評価した.薬剤の追加使用による厳格な血圧コントロール(24 時間血圧の正常低値)は,慢性腎臓病の患児における腎疾患の進行抑制に大きな利益をもたらすようであった.しかし,薬剤による血圧コントロールの成功後,蛋白尿が再出現する頻度が高かった.

  • パーキンソン病におけるグルコセレブロシダーゼの変異
    Glucocerebrosidase Mutations in Parkinson's Disease

    グルコセレブロシダーゼをコードする遺伝子(GBA)の欠損はゴーシェ病を引き起こすが,この多国共同研究では GBA 変異がパーキンソン病患者で対照よりも多く認められることが示され,GBA 変異とパーキンソン病は強く関連していることが裏付けられた.

  • 標準リスクの肝芽腫に対するシスプラチン単独とシスプラチン+ドキソルビシンの比較
    Cisplatin versus Cisplatin plus Doxorubicin for Standard-Risk Hepatoblastoma

    標準リスクの肝芽腫を有する患児を対象としたこの無作為化試験において,シスプラチン単独療法は,シスプラチン+ドキソルビシン併用療法と比べて有害事象が少なく,完全切除率と生存率が同等であった.これらの結果から,転帰不良のリスクが高くはない肝芽腫患児の治療には,ドキソルビシンは必要ではないことが示唆された.

BRIEF REPORT

  • 変異第 IX 因子(第 IX 因子 Padua)による X 連鎖血栓性素因
    X-Linked Thrombophilia with a Mutant Factor IX(Factor IX Padua)

    深部静脈血栓症の 23 歳の男性が,第 IX 因子遺伝子に機能獲得型変異を有することが判明した.第 IX 因子の血漿中濃度は正常であったが,変異蛋白の凝固活性は正常の約 8 倍であった.弟も,第 IX 因子の凝固活性が上昇する変異を有していた.

MEDICAL PROGRESS

  • 非定型溶血性尿毒症症候群
    Atypical Hemolytic–Uremic Syndrome

    溶血性尿毒症症候群は,非免疫性溶血性貧血,血小板減少,腎障害を特徴とし,幼児でもっともよくみられる.症例の大半は,大腸菌 O157:H7 株やその他志賀毒素産生株への感染に続発する.しかし,症例の約 10%は非定型で感染との関連が認められない.この総説では,非定型溶血性尿毒症症候群の病理生物学に関する最近の概念と,その診断・管理について論じている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 帝王切開後に発熱,腹痛,低血圧を呈した女性
    A Woman with Fever, Abdominal Pain, and Hypotension after Cesarean Section

    35 歳の女性が,選択的帝王切開の 3 日後に腹痛,発熱,低血圧を呈し当院に搬送された.診察では,急性疾患の様相を呈していた.体温は 39.2℃,血圧は 70/52 mmHg,脈拍は 149/分であった.腹部に膨隆と顕著な圧痛を認め,反跳痛を伴っていた.手術の切開部に紅斑と浮腫がみられ左側腹部に広がっていたが,ドレナージは行われていなかった.診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 前立腺癌を探求する
    Probing Prostate Cancer

    前立腺癌とその転移の遺伝子「シグネチャー」から,転移癌はすべて,前立腺に存在する単クローンに由来することが示唆された.