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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 29, 2009
Vol. 361 No. 18

ORIGINAL ARTICLES

  • 真菌感染症に対する易罹患性と CARD9 変異の関係
    Association between Susceptibility to Fungal Infections and a Mutation in CARD9

    中途終止コドンを生じる CARD9 遺伝子のホモ接合型変異は,あるイラン人の 1 家族において,慢性皮膚粘膜カンジダ症と関連することが認められた.CARD9 の機能不全は,抗真菌パターン認識受容体デクチン-1 の生来のシグナル伝達を妨げる.

  • 2 型糖尿病に対する複合インスリンレジメンの 3 年間の有効性の比較
    Three-Year Efficacy of Complex Insulin Regimens in Type 2 Diabetes

    この 3 年間の多施設共同試験では,メトホルミンとスルホニル尿素薬を服用しているにもかかわらず糖化ヘモグロビン(HbA1c)値のコントロールが不良であった患者を,二相性インスリン,食前インスリン,基礎インスリンを追加する群に無作為に割り付けた.最初の 1 年間に,高血糖が許容範囲を超えた場合,もしくはそれ以降も HbA1c 値が 6.5%を超えていた場合には,スルホニル尿素薬に代えて第 2 のインスリンを追加した.HbA1c の目標値達成率は,基礎インスリン群,食前インスリン群でより高かった.基礎インスリン群では,低血糖の発生と体重増加がより少なかった.

  • 小児の再発性尿路感染症と抗菌薬予防投与
    Antibiotic Prophylaxis and Recurrent Urinary Tract Infection in Children

    オーストラリアの 4 施設で行われたこの研究では,低用量の経口抗菌薬の持続的投与によって,尿路感染症に 1 回以上感染したことのある小児(18 歳未満)の再発が予防できるかどうかを検討した.低用量のトリメトプリム・スルファメトキサゾールの長期投与は,再発の可能性がある小児における尿路感染症の発生数の小さな減少と関連していた.

BRIEF REPORT

  • ヒトデクチン-1 欠損と皮膚粘膜真菌感染症
    Human Dectin-1 Deficiency and Mucocutaneous Fungal Infections

    再発性皮膚粘膜カンジダ症の家族が,遺伝的原因の可能性について評価を受けた.発症した家族には,β-グルカン受容体デクチン-1 の早期終止コドン変異が認められた.これらのデータから,粘膜での真菌防御にはデクチン-1 が重要な役割を果たすことが示唆される.

CLINICAL PRACTICE

  • HIV 曝露後の感染予防
    Postexposure Prophylaxis for HIV Infection

    24 歳の男性が,36 時間前にコンドームを使用せずに匿名の男性パートナーとの肛門性交を受け入れたと外来クリニックを受診した.男性はそのクリニックに受診歴があり,何度か受けたヒト免疫不全ウイルス感染検査の結果は陰性で,最近では 6 ヵ月前に検査を受けていた.この男性をどのように評価し,治療すべきであろうか?

CURRENT CONCEPTS

  • ノロウイルス胃腸炎
    Norovirus Gastroenteritis

    ノロウイルスは,小児・成人の両方における胃腸炎の流行の主な原因であり,散発性胃腸炎の重要な原因でもあることが現在では知られている.米国で過去に原因を特定できなかった胃腸炎の集団発生の 90%超は,このウイルスが原因であった可能性がある.ノロウイルス感染の制御と予防を今後改善するためには,このウイルスに対する免疫機能の性質を理解することが絶対的に重要である.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 咽頭痛,発熱,皮疹が出現した男性
    A Man with Sore Throat, Fever, and Rash

    20 歳の男性が,咽頭痛,発熱,びまん性の皮疹が 1 週間続いたため入院した.連鎖球菌性咽頭炎,単核球症の検査は陰性であった.アモキシシリンとクラブラン酸が処方され,その翌日に赤い,痒みを伴う皮疹が右上肢内側に出現した.皮疹は隆起し,痛みを伴うようになり,上肢から下肢,背部,手,足,口の周囲へと広がったが,粘膜には及ばなかった.診察で,圧痛を伴う紫がかった淡紅色の小水疱性丘疹がびまん性に認められ,進行して出血性の痂皮が形成されていた.診断のための手技が行われた.