ORIGINAL ARTICLE

• BRCA 関連癌に対するポリ（ADP リボース）ポリメラーゼ阻害薬
  Poly（ADP-Ribose） Polymerase Inhibitor in BRCA-Related Cancer

  ポリ（アデノシン二リン酸 [ADP] リボース）ポリメラーゼ（PARP）は DNA 切断を修復する主要な酵素であり，これを阻害すると，2 本鎖 DNA 切断を蓄積させることができる．BRCA1 蛋白と BRCA2 蛋白はこのような切断の修復に関与している．この第 1 相試験では，PARP 阻害薬オラパリブが，従来の化学療法でみられる重度の毒性をもたず，BRCA の変異を伴う腫瘍に対して客観的奏効をもたらすことが示された．

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• 肺炭疽治療のためのラキシバクマブ
  Raxibacumab for the Treatment of Inhalational Anthrax

  ヒト炭疽病に対する有効な新規治療法を示すことは，ヒト炭疽病が臨床的にまれであることから非常に困難である．この試験では，2 種類の炭疽菌感染動物モデルにおいて，炭疽菌毒素の防御抗原に対するモノクローナル抗体が有益であることが示された．また，ヒトで同等の利益を得るために必要な投与量も明らかにされた．

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• 薬剤による妊娠中絶レジメン変更後の重篤な感染症の発生率
  Rates of Serious Infection after Changes in Regimens for Medical Abortion

  米国内に多数存在する家族計画連盟（Planned Parent-hood）の医療機関を対象としたこの後ろ向き解析で，薬剤中絶方法をミソプロストールの腟内投与から経口投与に変更し，感染抑制手段を追加した結果，重篤な感染症の発生率に有意な低下が認められた．

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• 葉酸受容体に対する自己抗体と神経管欠損症の関連の欠如
  Lack of Association between Folate-Receptor Autoantibodies and Neural-Tube Defects

  保存血液検体を用いたこの症例対照研究では，アイルランド人集団で，神経管欠損症児の妊娠歴のある女性と，妊娠歴はあるが神経管欠損症児ではなかった女性を比較したところ，葉酸受容体に対する自己抗体の存在およびその抗体価と，神経管欠損症児妊娠には有意な関連は認められなかった．新鮮な血液検体を用いた補足的な症例対照研究でも，同様の結果が得られた．これらの結果からは，先行研究で報告された母体の葉酸受容体に対する自己抗体と神経管欠損症児妊娠とのあいだの強い関連は，確認されなかった．

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BRIEF REPORT

• 遺伝子治療試験における死因の調査
  Investigation of the Cause of Death in a Gene-Therapy Trial

  関節リウマチで全身免疫療法を受けていた 36 歳の女性が，播種性ヒストプラスマ症で死亡した．女性は，アデノ随伴ウイルスベクターデリバリーシステムにより送達される腫瘍壊死因子（TNF）α 拮抗薬を関節内注射する遺伝子治療試験に参加していた．

CLINICAL PRACTICE

• 卵巣癌のスクリーニング
  Screening for Ovarian Cancer

  56 歳の女性が，卵巣癌のスクリーニングのため主治医を受診した．友人が最近，卵巣癌のため 65 歳で死亡したという．女性に卵巣癌・乳癌の家族歴はない．内診・直腸診を含む身体診察は正常である．医師は卵巣癌のスクリーニングを推奨するべきであろうか？

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

• 腹痛，体重減少，腎不全を呈する女性
  A Woman with Abdominal Pain, Weight Loss, and Renal Failure

  61 歳の女性が，2 ヵ月にわたり腹痛，体重減少，血清クレアチニン値の上昇が続いたため入院した．入院時の身体診察では，軽度の腹部圧痛を除いて正常であった．腹部画像検査では特定の異常は認められなかった．臨床検査では貧血が認められた．クレアチニン値は最初，輸液の静脈内投与後に低下したが，その後上昇し高値を維持した．8 日目に，左眼に紅斑と疼痛が発現した．診断手技が行われた．

HEALTH LAW, ETHICS, AND HUMAN RIGHTS

• 横紋筋融解症と急性腎障害
  Protecting Privacy and the Public - Limits on Police Use of Bioidentifiers in Europe

  英国で，起訴されたが有罪判決を受けなかった 2 人の市民が，指紋と DNA 情報を保有する政府の権利に対し異議を申し立てた．欧州人権裁判所は，警察による DNA プロファイルおよび試料の収集・保管を定めた英国の法律は，人権を侵害しているという判決を下した．