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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

July 16, 2009
Vol. 361 No. 3

ORIGINAL ARTICLE

  • 冠動脈バイパス術における静脈グラフトの内視鏡的採取と切開採取の比較
    Endoscopic versus Open Vein-Graft Harvesting in Coronary-Artery Bypass Surgery

    冠動脈バイパス術(CABG)では,術後創合併症を防ぐため内視鏡下で静脈グラフトが採取されることが多い.しかし,この試験で術後 3 年間追跡したところ,内視鏡的採取は,グラフト機能不全と有害な臨床転帰の発生率が高いことに関連していた.この試験は無作為化試験ではなかったが,CABG において静脈グラフトの内視鏡的採取を行うことを疑問視するものである.

  • 遺伝子型の開示とアルツハイマー病
    Genotype Disclosure and Alzheimer's Disease

    アルツハイマー病の親をもつ成人を,本人の APOE 遺伝子型(リスク変異)を知らせる群と知らせない群のいずれかに無作為に割り付けた.遺伝子型決定の結果を開示した場合と開示しなかった場合で,心理的ストレスに臨床的に意義のある差は認められなかった.

  • 記憶力低下と APOE ε 4 対立遺伝子
    Memory Loss and the APOE ε 4 Allele

    APOE ε 4 の変異は,アルツハイマー病のリスク増加をもたらす.認知的加齢に伴う経時モデルから,APOE ε4 対立遺伝子を 1 つまたは 2 つ保有する被験者では,60 歳より前に記憶力低下がみられる点で,非保有者とは異なることが示された.

  • 大腸ポリープと大腸癌の検出におけるカプセル型内視鏡と大腸内視鏡の比較
    Capsule Endoscopy vs. Colonoscopy for Detecting Polyps and Cancer

    この研究では,大腸内視鏡検査で確認された大腸ポリープと大腸癌に対する,カプセル型内視鏡の検出力を評価した.カプセル型内視鏡検査の進行腺腫に対する感度は 73%,特異度は 79%であった.この結果は,カプセル型内視鏡検査の感度が比較的低いことを示しており,現時点ではカプセル型内視鏡を大腸癌のスクリーニングに用いることを支持しない.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 子宮頸部上皮内腫瘍を予防するための HPV ワクチン接種
    HPV Vaccination for the Prevention of Cervical Intraepithelial Neoplasia

    性的に活発な 18 歳の女性が,年に 1 度の検診で主治医のもとを訪れ,ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を受けるべきかどうか尋ねている.HPV は子宮頸癌の原因になる.現存するワクチンは,被接種者に感染歴がない場合,一部の発癌遺伝子型ウイルスは防御できるが,すべての型を防御することはできない.ワクチンを接種しても,子宮頸癌の定期検診を受ける必要がある.

CURRENT CONCEPTS

  • 歴史からの展望 ― A 型インフルエンザ(H1N1)ウイルスの出現
    Historical Perspective - Emergence of Influenza A(H1N1)Viruses

    現在世界的に流行しているブタ由来インフルエンザ A(H1N1)ウイルスが出現するにいたった,これまでに起こった 12 の重要な事象を振り返る.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 骨髄移植後に皮膚と肺の病変を呈した男性
    A Man with Skin and Pulmonary Lesions after Bone Marrow Transplantation

    59 歳の男性が,急性骨髄性白血病に対する導入化学療法のため入院した.入院 7 日目に,好中球減少,発熱,悪心,下痢,腹痛が発現した.広域スペクトル抗菌薬療法を行ったにもかかわらず,圧痛を伴う紅斑性皮膚病変が体幹,腹部,上下肢に発現し,胸部 CT で両肺に小結節が認められた.診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 記憶,グルタミン酸受容体,シナプス
    Memory, the Glutamate Receptors, and the Synapse

    シナプス後グルタミン酸受容体を安定させる膜貫通蛋白 Neto1 を欠損させたマウスでは,記憶と学習に障害が生じるが,この障害はグルタミン酸受容体刺激薬の投与によって改善される.