The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

July 23, 2009
Vol. 361 No. 4

ORIGINAL ARTICLE

  • インドにおける Vi 腸チフスワクチンのクラスター無作為化有効性試験
    A Cluster-Randomized Effectiveness Trial of Vi Typhoid Vaccine in India

    腸チフスは,発展途上諸国ではいまだに疾患と死亡の重大な原因である.インド・コルカタで行われた今回の第 4 相試験では,37,673 例が Vi 腸チフスワクチンまたは A 型肝炎ワクチンのいずれかの接種を受けた.Vi ワクチンの腸チフス感染に対する防御効果は,ワクチン接種者では約 61%,ワクチン接種者と同じクラスターに居住するワクチン非接種者では 44%であった.このことから,Vi ワクチンは,接種者と密接に接触する人々にも間接的に利益があることが示唆される.

  • 非定型溶血性尿毒症症候群におけるトロンボモジュリン遺伝子変異
    Thrombomodulin Mutations in Atypical Hemolytic-Uremic Syndrome

    非定型溶血性尿毒症症候群は,微小血管性溶血性貧血,血小板減少,腎不全を合併する複合病態で,一般的な溶血性尿毒症症候群とは異なり志賀毒素との関連はなく,補体系因子の変異による補体の異常な活性化が関連していることが多い.この研究は,非定型溶血性尿毒症症候群患者の一部に,トロンボモジュリンをコードする THBD 遺伝子の機能喪失型変異がみられることを示している.これらの変異の結果,細胞表面での補体活性化を制御する機能は低下し,細胞は活性化した補体から防御されなくなる.

  • 神経線維腫症 2 型患者におけるベバシズマブ治療後の聴力の改善
    Hearing Improvement after Bevacizumab in Patients with Neurofibromatosis Type 2

    この試験では,神経線維腫症 2 型と前庭神経鞘腫(聴神経腫瘍)を有する連続した 10 例の患者に対し,血管内皮増殖因子(VEGF)が聴神経腫瘍で発現していることを確認した後,抗 VEGF モノクローナル抗体ベバシズマブを投与した.一部の患者で,腫瘍体積の減少と聴力の改善が認められた.

SPECIAL ARTICLE

  • 英国におけるプライマリケアの質に対する Pay for Performance の影響
    Effects of Pay for Performance on the Quality of Primary Care in England

    英国では 2004 年に,臨床ケアの質に関する目標を達成した家庭医に報酬を与える pay-for-performance 制度が導入された.1998~2007 年における冠動脈性心疾患,喘息,糖尿病に対する医療の質を検討したこの分析では,制度の導入当初は医療の質の向上が認められたが,その後の改善は減速したことが示されている.

CLINICAL PRACTICE

  • 子宮外妊娠
    Ectopic Pregnancy

    妊娠を試みていた 29 歳の健常女性が,不正出血が 5 日間続き,この 3 日間は左下腹部に間欠的な鋭い痛みがあったため受診した.最終月経は受診の 6 週間と 2 日前であった.女性は,自然経腟分娩歴があり,また,枯死卵に対し子宮内容除去術を受けたことがある.この患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 頭痛,悪心,てんかん,高血圧を呈する男児
    A Boy with Headache, Nausea, Seizures, and Hypertension

    13 歳の男児が,頭痛,悪心,てんかん,腎不全,高血圧のために入院した.3 週間前に頭痛,疲労,食欲不振が発現し,便秘と,悪心・嘔吐もときおりみられた.入院当日は,悪心と嘔吐が悪化し,右脚のしびれと,めまいが生じた.救急部を受診し,腎不全を伴う高血圧であることが判明した.診断手技が行われた.

HEALTH LAW, ETHICS, AND HUMAN RIGHTS

  • メディケア・パート D の改定 ― 学んだこととやり残したこと
    Medicare Part D Update ― Lessons Learned and Unfinished Business

    この報告では,メディケア・パート D 処方薬プランに関する今日までの経緯を概説し,政策立案者が直面している課題について論じている.