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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 14, 2010
Vol. 362 No. 2

ORIGINAL ARTICLE

  • 米陸軍兵の妻の精神科受診
    Use of Mental Health Services among U.S. Army Wives

    現役米陸軍兵の妻を対象にしたこの研究によると,2003~06 年に,イラクやアフガニスタンに派遣された夫をもつ妻は,派遣されていなかった夫をもつ妻に比べて,うつ病性障害,睡眠障害,不安障害,ストレス障害の診断を受ける割合が高かった.

  • イラクにおける戦傷後のモルヒネ投与と PTSD
    Morphine Use after Combat Injury in Iraq and PTSD

    負傷した米軍兵士を対象としたこの研究では,外傷治療時のモルヒネ投与と,負傷後の心的外傷後ストレス障害(PTSD)のリスク低下が関連することが示された.この結果から,重傷後の最適な疼痛管理が,PTSD 予防の一助となる可能性が示唆される.

  • 中等症~重症の乾癬に対するウステキヌマブとエタネルセプトの比較
    Ustekinumab versus Etanercept for Moderate-to-Severe Psoriasis

    乾癬に対する有効性が認められている生物学的製剤の 12 週間の投与について比較したこの無作為化試験では,ウステキヌマブ(インターロイキン-12・23 拮抗薬)に,エタネルセプト(腫瘍壊死因子 α 阻害薬)よりも高い有効性が認められた.これらの薬剤に関連する有害事象は類似していたが,まれな有害事象を評価するには試験の規模と追跡期間が十分ではなかった.

  • 膵癌に対する術前胆道ドレナージ
    Preoperative Biliary Drainage for Pancreatic Cancer

    術前胆道ドレナージは膵頭部癌による閉塞性黄疸を伴う患者によく行われるが,その有益性は明らかにされていない.この無作為化試験では,膵頭部癌に対し,術前胆道ドレナージを 4~6 週間行ってから手術する群と,手術のみを早期に行う群を比較した.術前胆道ドレナージによる合併症は増加した一方,手術関連合併症の発生率は低下しなかった.

BRIEF REPORT

  • 免疫抑制療法中止後の同種気管移植
    Tracheal Allotransplantation after Withdrawal of Immunosuppressive Therapy

    死体ドナーから採取した気管を,レシピエントの前腕に移植し,レシピエントの筋膜で包んだ.数ヵ月後,移植気管への血管供給が確立したため,気管上皮をレシピエントの口腔粘膜で置換した.免疫抑制療法を中止し,この同種移植気管を用いてレシピエントの気管欠損を修復した.移植気管は移植後 1 年以上機能している.

CURRENT CONCEPTS

  • 院内細菌性髄膜炎
    Nosocomial Bacterial Meningitis

    院内細菌性髄膜炎は,ほとんどの場合複雑な頭部外傷や,開頭,脳室カテーテルの留置,薬物の髄腔内注入,脊椎麻酔などの侵襲的手技に関連している.また,院内感染菌血症からの転移性感染によって,髄膜炎が引き起こされる場合もある.症状は,さまざまな病原性機序・微生物スペクトルに関連するため,経験的抗菌薬治療の選択は症状により異なる.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 高血圧,高血糖,浮腫を呈する男性
    A Man with Hypertension, Hyperglycemia, and Edema

    75 歳の男性が,最近になって高血圧,高血糖,浮腫を発症したため入院した.前立腺癌,ヘモクロマトーシス,副腎・甲状腺の結節,結腸ポリープの既往があった.白血球数は 17,400/mm3 で好中球が 87%,血清カリウム濃度は 2.6 mmol/L,塩化物濃度は 97 mmol/L であった.画像検査で,これまで認められなかった肺・肝臓の結節が認められた.診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 前立腺癌の前駆細胞
    Progenitor Cells of Prostate Cancer

    マウスの前立腺管腔幹細胞のサブグループは,アンドロゲン除去により誘導されるアポトーシスに抵抗性を示すことから,癌腫の形成が誘導される可能性がある.