The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 3, 2010
Vol. 362 No. 22

ORIGINAL ARTICLE

  • 早期乳癌における長期治療,医原性無月経,生存率
    Longer Therapy, Amenorrhea, and Survival in Early Breast Cancer

    リンパ節転移陽性乳癌のアジュバント化学療法として,ドキソルビシン+シクロホスファミド投与後にドセタキセルを投与するレジメンは,3 剤を同時投与するレジメン,ドキソルビシン+ドセタキセルを投与するレジメンと比べて,無病生存率の有意な改善に関連していた.治療のために無月経となった閉経前女性では,レジメンや腫瘍のホルモン受容体の状態にかかわらず,全生存率と無病生存率に有意な関連がみられた.

  • 腹圧性尿失禁に対する中部尿道スリング手術:恥骨後式と経閉鎖孔式の比較
    Retropubic versus Transobturator Midurethral Slings for Stress Incontinence

    腹圧性尿失禁に対するスリング手術において,恥骨後式と経閉鎖孔式を比較したこの無作為化試験では,客観的基準による治療成功率に恥骨後式と経閉鎖孔式とで同等であることが示された.主観的基準による治療成功率は両群で類似していたが,同等性の基準を満たさなかった.発生した合併症の種類は 2 群で異なり,恥骨後式群では手術を要する排尿障害,経閉鎖孔式群では神経学的症状が多く認められた.

  • パーキンソン病に対する脳深部刺激療法
    Deep-Brain Stimulation for Parkinson's Disease

    進行期パーキンソン病患者を対象に,脳深部刺激の標的部位を淡蒼球内節と視床下核で比較した無作為化試験において,運動機能の改善は両群で同程度であった.

  • 感染症に対する遺伝的感受性
    Genetic Susceptibility to Infectious Disease

    インターロイキン-2 は炎症誘発性インターロイキンの 1 つで,免疫系の異なる細胞型に多面発現効果を及ぼす.サイトカイン誘導性 SRC 相同 2(SH2)ドメイン蛋白(CISH)は,インターロイキン-2 によってアップレギュレートされ,インターロイキン-2 のシグナル伝達を抑制する.この研究は,CISH 遺伝子の変異体は,菌血症,マラリア,結核への感受性と関連していることを示している.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 高血圧の食事療法
    Dietary Therapy in Hypertension

    57 歳の女性が,高血圧の評価を受けるため外来専門クリニックを受診した.血圧は 155/95 mmHg であった.食事療法が推奨された.降圧効果の認められている食事内容の変更は,減塩,減量のためのカロリー制限,そして果物・野菜・低脂肪乳製品・全粒粉・鶏肉・魚・ナッツ類・不飽和植物油を多く含んだ食事をすることである.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 家族性疾患
    All in the Family

    34 歳の女性が,失語症を呈し地域病院を受診した.夫によると,2 時間前に突然,両腕と両脚が数秒間震えるまで異常はみられなかったという.その直後から女性は話すことも右側上下肢を動かすこともできなくなった.

HEALTH LAW, ETHICS, AND HUMAN RIGHTS

  • 緊急時の標準治療
    Standard of Care in Emergencies

    9・11 以後,政策アナリストらは,医師が災害時に医療責任を恐れて治療に消極的になる場合があると推測し,さまざまな緊急事態ごとに標準治療を作成するという政策を提案した.著者は,ハイチ大地震を背景に,災害時の標準治療を再検討する必要性や正当性はないと主張している.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 炎症におけるミトコンドリア
    The Mitochondrion in Inflammation

    無菌性炎症は,外傷後全身性炎症反応や心筋梗塞などの病態で生じるが,死滅した細胞から放出されるミトコンドリアが誘発させている可能性がある.