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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 10, 2010
Vol. 362 No. 23

ORIGINAL ARTICLE

  • 集団内の急性心筋梗塞の発症率と転帰
    Population Trends in the Incidence and Outcomes of Acute Myocardial Infarction

    この大規模な地域ベースの研究では,急性心筋梗塞の発症率は 2000 年以降有意に低下し,とくに ST 上昇型心筋梗塞の発症率が顕著に低下した.致命率の低下には,ST 上昇型心筋梗塞の減少と,非 ST 上昇型心筋梗塞による死亡率の低下が寄与していた.

  • 2009 H1N1 インフルエンザ集団感染の封じ込めを目的としたオセルタミビルの包囲予防投与
    Oseltamivir Ring Prophylaxis for Containment of 2009 H1N1 Influenza Outbreaks

    2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルスの制御は困難な課題である.この論文では,オセルタミビル(75mg/日を 10 日間)の包囲予防投与(予防投与による地域封じ込め)により,シンガポール軍基地 4 ヵ所,1,175 人において集団感染が大きく抑制されたことが示されている.インフルエンザ感染者数は,介入前は 75 例であったのが,介入後は 7 例になった.全体の再生産数(発端症例 1 例に起因する新規症例数)は,介入前の 1.91 から介入後には 0.11 へと有意に減少した.

  • 2009 パンデミックインフルエンザ A と季節性インフルエンザ A の家庭内における疫学的比較
    Comparative Epidemiology of Pandemic and Seasonal Influenza A in Households

    2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルスは,この 1 年間で世界的に重大な病態を引き起こしている.香港で行われたこの研究では,2009 パンデミック H1N1 ウイルスと季節性インフルエンザ A ウイルスとで,症状,ウイルス排出,二次感染率に類似性が示された.

  • 妊娠中のバルプロ酸使用と先天奇形
    Valproic Acid in Pregnancy and Congenital Malformations

    この大規模症例対照研究では,欧州のデータベースを用いて,妊娠第 1 期のバルプロ酸単独療法と,これまでに妊娠初期のバルプロ酸使用との関連が報告されている 14 奇形との関連を検討した.バルプロ酸単独療法は,抗てんかん薬を使用しなかった場合やほかの抗てんかん薬を使用した場合と比べて,14 奇形のうちの 6 奇形,すなわち二分脊椎,心房中隔欠損,口蓋裂,尿道下裂,多指症,頭蓋縫合早期癒合症のリスク増加と有意に関連していた.

CLINICAL PRACTICE

  • 初期のアルツハイマー病
    Early Alzheimer's Disease

    証券会社に勤める 72 歳の男性が,この 2 年間で記憶障害が進行したため妻の強い勧めにより相談にきている.顧客らは,男性がときどき記憶違いをすることに懸念を示していた.妻によれば,人との約束について繰り返し質問し,そのことを指摘すると腹を立てるという.身体診察所見は正常であるが,短い会話の内容を記憶することが困難で,それに少しの変更を加えることも困難である.アルツハイマー病が疑われる.この患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?

MEDICAL PROGRESS

  • 神経芽細胞腫における最近の進歩
    Recent Advances in Neuroblastoma

    自律神経系の胎児性癌である神経芽細胞腫は,生後 1 年間に診断される頻度がもっとも高い.神経芽細胞腫は,小児癌に占める罹患率と死亡率が非常に高いものの,自然かつ完全に退縮する確率も高い癌の一つである.著者は,神経芽細胞腫の解明における最近の進歩について論じている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 左手足の屈曲と発語困難を呈する女性
    A Woman with Flexion of the Left Hand and Foot and Difficulty Speaking

    29 歳の右利きの女性が,この 3 年間で左手が不随意に屈曲し,左足を動かすのが徐々に困難となり神経内科を受診した.診察で,左の腕・手・足にジストニア様の運動と姿勢が認められた.脳画像検査は正常であった.その後 2 年半で症状は徐々に悪化し,嚥下障害と発語困難が発現した.診断検査が行われた.