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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 2, 2010
Vol. 363 No. 10

ORIGINAL ARTICLE

  • 過体重や肥満の患者に対するシブトラミンと心血管系転帰
    Sibutramine and Cardiovascular Outcomes in Overweight and Obese Subjects

    この臨床試験では,食欲抑制薬シブトラミンをプラセボと比較した結果,わずかな体重減少が認められたものの,非致死的心筋梗塞と非致死的脳卒中のリスクの予期せぬ上昇もみられた(心血管疾患の既往がある患者に限定された所見).シブトラミンは心血管疾患患者に使用するべきではない.

  • 高血圧性慢性腎臓病における強化血圧コントロール
    Intensive Blood-Pressure Control in Hypertensive Chronic Kidney Disease

    この試験では,高血圧性慢性腎臓病の黒人患者において,強化血圧コントロールにより慢性腎臓病の進行を遅らせることができるかどうかが検討された.ベースラインで蛋白尿(尿中蛋白/クレアチニン比 0.22 超)を有する患者には明らかな有益性が認められたが,蛋白/クレアチニン比が正常な患者では有益性は認められなかった.患者全体では,強化血圧コントロールによる腎疾患進行に対する抑制効果は認められなかった.

  • 急性冠症候群に対するクロピドグレルとアスピリンの投与量の比較
    Dose Comparisons of Clopidogrel and Aspirin in Acute Coronary Syndromes

    2×2 要因デザイン試験において,急性冠症候群を発症し侵襲的治療に紹介された患者を,クロピドグレルの負荷用量を 2 倍量または標準用量にし,アスピリンを高用量または低用量で投与するレジメンに無作為に割り付けた.30 日の時点で,クロピドグレル,アスピリンのいずれの用量においても,主要転帰とした心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中に差は認められなかった.

  • 卵巣癌に対する化学療法と手術
    Chemotherapy or Surgery in Ovarian Cancer

    この無作為化試験では,腫瘍径の大きな IIIC 期または IV 期の卵巣癌患者において,一次腫瘍減量手術後に化学療法を行う標準的治療と,ネオアジュバント化学療法後に腫瘍減量手術を行う治療を比較した.化学療法を先に行った場合,より多くの患者が optimal な腫瘍減量(腫瘍径 1 cm 以下)が可能であった.しかし,腫瘍減量手術の施行時期にかかわらず,転帰は類似していた.一次治療として行う化学療法は,腫瘍径の大きな卵巣癌の管理における選択肢の一つである.

CLINICAL PRACTICE

  • カルシウム腎結石
    Calcium Kidney Stones

    43 歳の男性が,再発性腎結石の評価のため受診した.最初の結石は 9 年前に排出されたが,さらに症候性結石が 2 個発現した.2 個の結石は,分析によりシュウ酸カルシウム 80%とリン酸カルシウム 20%を含むことが示された.尿量は 1.54 L/日,尿 pH は 5.6 であった.最初の結石を排出後,男性はクエン酸カリウム 20~40 mmol/日による治療を受けていた.この男性を今後どのように評価し,治療すべきであろうか?

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 妊娠しにくい
    Hard to Conceive

    ネパール出身の 31 歳の女性が,この 18 ヵ月間に妊娠を試みたが成功せず,主治医を受診した.初経年齢は 13 歳で,月経は 4 週ごとに規則的にあるという.性感染症,骨盤内炎症性疾患,子宮内避妊器具の使用,ジエチルスチルベストロールへの曝露,パパニコロー検査での異常,妊娠歴はない.

HEALTH LAW, ETHICS, AND HUMAN RIGHTS

  • 大規模医療事故の開示
    Disclosure of Large-Scale Adverse Events

    医用機器の消毒を怠るなどの医療事故の中には,多数の患者に害を及ぼす可能性があるものもある.著者らは,医療機関は大規模な医療事故への対応方針を作成し,害をおよぼすリスクがきわめて低い場合であっても,患者にこれらの事故をルーチンに開示しなければならないと主張している.