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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 26, 2010
Vol. 363 No. 9

ORIGINAL ARTICLE

  • 転移性黒色腫における変異活性化 BRAF の阻害
    Inhibition of Mutated, Activated BRAF in Metastatic Melanoma

    黒色腫の多くは,BRAF に活性化変異,すなわち 600 番目のアミノ酸であるバリンのグルタミン酸置換(V600E 変異)がある.著者らは,2 相から成る試験を行い,B-RAF 変異を阻害する新薬 PLX4032 の活性を報告している.PLX4032 960 mg の 1 日 2 回の経口投与により,32 例中 26 例(81%)で,19 ヵ月以上持続した部分寛解や完全寛解が得られた.副作用には,発疹,関節痛,疲労,角化棘細胞腫などがあった.

  • 常染色体優性多発性嚢胞腎におけるシロリムスと腎肥大
    Sirolimus and Kidney Growth in ADPKD

    常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)では,哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)経路の異常な活性化と進行性腎肥大との関連が示されている.シロリムス(ラパマイシン)は mTOR のシグナル伝達を抑制することから,ADPKD を有する初期の慢性腎臓病患者を対象とした 18 ヵ月間の非盲検無作為化比較対照試験が行われた.目標用量 2 mg/日のシロリムスを投与しても,多発性嚢胞腎の肥大は抑制されなかった.

  • 常染色体優性多発性嚢胞患者に対するエベロリムス
    Everolimus in Patients with ADPKD

    哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)経路は嚢胞の肥大に重要な役割を果たしていることから,この 2 年間の二重盲検試験では,ADPKD 患者を,プラセボを投与する群と,mTOR 阻害薬エベロリムスを投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.MRI による評価では,エベロリムスにより,総腎容積の増加は抑制されたが,腎障害の進行は抑制されなかった.

SPECIAL ARTICLE

  • 米国における小児の過少保険
    Underinsurance among Children in the United States

    2007 年の全米小児健康調査データから,1,100 万人の小児(全米の小児の 15%)が,その年の一部期間または全期間無保険であったことと,継続して保険に加入している 1,400 万人の小児(19%)で,必要とする医療,医療提供者,費用に対する保険適用が不十分であったことが報告された.

GENOMIC MEDICINE

  • メンデル遺伝病に対する新たな治療アプローチ
    New Therapeutic Approaches to Mendelian Disorders

    メンデル遺伝病の病因となる突然変異(「原因」遺伝子)を同定する方法のおかげで,現在ではそのような疾患を引き起こす分子機構が明らかにされている.この知識から生まれた新しい治療アプローチが,ゲノム医学シリーズの第 3 弾で概説されている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 視力障害と発疹を呈する男性
    A Man with Loss of Vision and a Rash

    最近ホジキンリンパ腫の治療を受けた 54 歳の男性が,突然の片眼の視力障害で入院した.入院する日の朝,左眼の中心視力の低下に気づいたという.診察では,左眼の視力は 20/400 であった.眼底検査で白っぽい視神経乳頭浮腫と,神経下方の火炎状出血が認められた.紅斑性の落屑性発疹が,額,胸部,上背部に認められた.脳の CT と MRI では異常は認められなかった.診断検査の結果が得られ,診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 癌と「気まぐれ」な標的
    Cancer and Caprice

    マウスにおいて,遺伝子発現を制御し黒色腫の進行を促進する酵素の発現は,二次癌を生じさせる腫瘍細胞内で認められたり認められなかったりと,一定していない.