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April 24, 1997 Vol. 336 No. 17

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アルツハイマー病に対する治療としてのセレジリン,α-トコフェロール,またはその併用に関する対照臨床試験
A CONTROLLED TRIAL OF SELEGILINE, ALPHA-TOCOPHEROL, OR BOTH AS TREATMENT FOR ALZHEIMER'S DISEASE

M. SANO AND OTHERS

背景

脳カテコラミン濃度を増加させ,酸化的障害から保護する薬剤またはビタミンは,神経障害を減少させ,アルツハイマー病の進行を遅らせる可能性があるという証拠がある.

方 法

重症度が中等度のアルツハイマー病患者を対象として,二重盲検プラセボ対照無作為多施設臨床試験を実施した.341 人に対し,選択的モノアミン酸化酵素阻害薬であるセレジリン(10 mg/日),α-トコフェロール(ビタミン E,2,000 IU/日),セレジリンとα-トコフェロールの併用,またはプラセボを 2 年間投与した.主要転帰は次のいずれかが発生するまでの期間とした:死亡,入院,基本的な日常生活動作能力の喪失,または重度痴呆(臨床痴呆評価 3 度として定義).

結 果

無作為割付けにもかかわらず,ミニメンタルステート検査(MMSE)のベースラインスコアは,プラセボ群が他の 3 群より高く,この変数は主要転帰を強く予測するものであった(p<0.001).未補正解析では,4 群の転帰に統計学的に有意差を認めなかった.MMSE のベースラインスコアを共変数として含む解析では,主要転帰発生までの時間に,セレジリンで治療した患者(時間の中央値,655 日;p=0.012),α-トコフェロールで治療した患者(670 日,p=0.001),併用療法で治療した患者(585 日,p=0.049)に,プラセボ群(440 日)と比較して有意な遅れを認めた.

結 論

アルツハイマー病による障害の重症度が中等度の患者では,セレジリンまたはα-トコフェロールによる治療は疾患の進行を遅らせる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1216 - 22. )