嚢胞性線維症の患児における高用量膵酵素補充と線維化性結腸疾患
HIGH-DOSE PANCREATIC-ENZYME SUPPLEMENTS AND FIBROSING COLONOPATHY IN CHILDREN WITH CYSTIC FIBROSIS
S.C. FITZSIMMONS AND OTHERS
線維化性結腸疾患は嚢胞性線維症の低年齢児で報告されているが,これらの患児の多くが,腸管の吸収不良をコントロールするために,大量の膵酵素補充を受けている.われわれは,米国でケースコントロール研究を実施し,膵酵素補充の用量およびタイプと,線維化性結腸疾患との関係を調査した.
1990 年 1 月 1 日から 1994 年 12 月 31 日までのあいだに,結腸狭窄のため結腸切除の必要性を組織病理学的に確定した線維化性結腸疾患の患児を確認した.これらの患児の各々を,手術時の年齢および医療センターに応じて,線維化性結腸疾患を有しない嚢胞性線維症対照 4 人までとマッチさせた.
線維化性結腸疾患の患児 29 人(平均年齢,5.0 歳)(症例患者)と対照 105 人(平均年齢 5.2 歳)を調べた.膵酵素補充の平均用量は,症例患児が 50,046 リパーゼ単位/kg/日,対照が 18,985 単位/kg/日であった.嚢胞性線維症に起因する胃腸管合併症の既往歴がある場合,またヒスタミン H2 受容体拮抗薬,副腎皮質ステロイド,または遺伝子組換え型ヒト DNase(ドルナーゼα)を使用している場合に,線維化性結腸疾患の発生率が高かった.そのような合併症の既往歴とこれら投薬の使用について補正後,用量 24,001~50,000 リパーゼ単位/kg/日の膵酵素による線維化性結腸疾患の相対危険度は,用量 0~24,000 単位/kg/日と比べると 10.9(95%信頼区間,1.6~71.8)で,用量 50,000 単位/kg/日以上の場合では 199.5(95%信頼区間,9.9~4,026.0)であった.用いた製品の強度,コーティング,そして製造元は,線維化性結腸疾患のリスクと無関係であった.
嚢胞性線維症の低年齢児では,毎日の高用量膵酵素補充と線維化性結腸疾患の発症とのあいだに強い相関を認めた.われわれの知見は,ほとんどの患者に対して,膵酵素の 1 日用量を 10,000 リパーゼ単位/kg 未満にとどめるべきだという勧告を支持する.