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日本語アブストラクト

January 2, 1997 Vol. 336 No. 1

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腎動脈下腹部大動脈瘤に対する管腔内ステント–グラフト
ENDOLUMINAL STENT–GRAFTS FOR INFRARENAL ABDOMINAL AORTIC ANEURYSMS

U. Blum and Others

背景

血管内ステントまたはステント–グラフト補填による大動脈瘤の治療は,腹部大手術に代わる方法として注目を集めつつある.この技法の臨床的価値を明らかにするため,われわれは,腎動脈下腹部大動脈瘤の治療における,ニチノール製の,ポリエステル織物で覆われたステント–グラフト体内補填の使用を前向きに検討した.

方 法

3 ヵ所の大学病院で患者 154 人を治療した.大動脈分岐を含まない大動脈瘤患者 21 人に直線ステント–グラフトを移植し,分岐および総腸骨動脈を巻き込む大動脈瘤患者 133 人に対し,分岐ステント–グラフトを移植した.外科的に一側の動脈を切開後,透視下でステント–グラフトを大腿動脈から進入させて留置した.平均 12.5 ヵ月の追跡期間中にコンピュータ断層撮影および動脈内血管造影を実施した.

結 果

「腹部大動脈瘤の血流からの完全な隔絶」と定義した主要成功率は,直線グラフト留置群では 86%,分岐グラフト留置群では 87%であった.3 人では,手術を開腹手術に変更しなければならなかった.患者の 10%に,手技に関連する軽度の合併症(n=13),重度の合併症(n=3)が発現した(死亡 1 例を含む).全例に,移植後症候群として白血球増多と C 反応性蛋白(CRP)上昇が認められた.

結 論

今回の結果は,腎動脈下腹部動脈瘤の血管内治療は技術的に実行可能で,腹部大動脈瘤を血流から効果的に隔絶することが可能であることを示唆する.さらに改良すれば,とくに手術リスクの高い患者において,血管内修復は腎動脈下動脈瘤を治療する有力な戦略となる可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 13 - 20. )