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June 5, 1997 Vol. 336 No. 23

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急性心筋梗塞に対する初回冠動脈形成術と組織プラスミノーゲン活性化因子とを比較する臨床試験
A CLINICAL TRIAL COMPARING PRIMARY CORONARY ANGIOPLASTY WITH TISSUE PLASMINOGEN ACTIVATOR FOR ACUTE MYOCARDIAL INFARCTION

THE GLOBAL USE OF STRATEGIES TO OPEN OCCLUDED CORONARY ARTERIES IN ACUTE CORONARY SYNDROMES (GUSTO IIb) ANGIOPLASTY SUBSTUDY INVESTIGATORS

背景

急性心筋梗塞患者を治療する医師のあいだでは,初回(すなわち即時の)冠動脈形成術の,血栓溶解療法と比較した臨床効果の大きさに関してさまざまな議論がある.

方 法

急性冠症候群における閉塞冠動脈の開口戦略の包括的利用に関する臨床試験(GUSTO IIb)の一部として,57 の病院の患者 1,138 人を無作為割付けし,急性心筋梗塞(心電図上 ST 上昇を伴う)後 12 時間以内に初回血管形成術,または遺伝子組換え型組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)による迅速な血栓溶解療法を行った.要因デザインにて,1,012 人をさらに,ヘパリン投与またはヒルジン投与に無作為に割り付けた.試験の主要エンドポイントは,30 日時点での死亡,非致死性再梗塞,障害の残る非致死性脳卒中の複合転帰とした.

結 果

血管形成術群および t-PA 群での主要エンドポイントの発生率はそれぞれ,9.6%および 13.7%であった(オッズ比,0.67;95%信頼区間,0.47~0.97;p=0.033).死亡は,血管形成術群の患者では 5.7%に,t-PA 群の患者では 7.0%に起こり(p=0.37),再梗塞は 4.5%および 6.5%に(p=0.13),障害の残る脳卒中は 0.2%および 0.9%に起こった(p=0.11).6 ヵ月の時点で,複合転帰の発生率に有意差を認めなかった(13.3% 対 15.7%,p は有意ではない).主要エンドポイントは,血管形成術群のうち,ヘパリンに割り付けられた患者では 10.6%に,ヒルジンに割り付けられた患者では 8.2%に認められた(p=0.37).

結 論

血管形成術には,t-PA による血栓溶解療法を上回る,軽度~中等度で短期の臨床的優位性があることが本試験から示唆された.初回血管形成術は,経験のある施設で迅速に施行することが可能であれば,心筋再灌流の優れた選択肢とみなされるであろう.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1621 - 8. )