院外心停止の生存者における即時冠動脈造影術
IMMEDIATE CORONARY ANGIOGRAPHY IN SURVIVORS OF OUT-OF-HOSPITAL CARDIAC ARREST
C.M. SPAULDING AND OTHERS
院外で突然心停止した患者における急性冠動脈閉塞の発生率はわかっておらず,再灌流療法の役割は確定していない.そこでわれわれは,院外心停止の生存者に即時冠動脈造影を行い,適応があれば血管形成術を施行した.
1994 年 9 月~96 年 8 月に,心臓以外に明らかな心停止原因を認めない 30~75 歳の一連の患者 84 人に冠動脈造影を施行した.
血管造影により,84 人中 60 人に臨床的に重要な冠動脈疾患を認め,40 人に冠動脈閉塞を認めた(48%).血管形成術を 37 人に試み,28 人で技術的に成功した.胸痛の発生や ST 上昇の存在などの臨床所見と心電図所見は,急性冠動脈閉塞の予測因子としては不良であった.院内生存率は 38%であった.多変量ロジスティック回帰分析により,血管形成術の成功は生存に関する独立予測因子であることが判明した(オッズ比,5.2;95%信頼区間,1.1~24.5;p=0.04).
急性冠動脈閉塞は,院外心停止の生存者において頻度が高く,臨床所見と心電図所見の予測能は低い.即時冠動脈造影による正確な診断を行えば,適切な候補者に対して後に冠動脈形成術を施行することが可能で,これにより生存が改善するように思われる.