B 型肝炎 e 抗原（HBeAg）を保有する感染外科医から患者への B 型肝炎ウイルス（HBV）の伝播は，何度も報告されている．イギリスでは，HBeAg 陽性外科医に対し，患者がヘルスケア従事者の血液に曝されるリスクがある特定の技法の実施を許可していない．しかし，検出可能な HBeAg を有しない B 型肝炎表面抗原保有者に対しては，伝播が証明されなければ，医療制限はない．

互いに無関係な急性 B 型肝炎の 4 症例において，手術が病因の可能性があると特定されたため，われわれは手術チームの HBV 感染の血清学的マーカーの有無を検査した．いずれの症例においても，外科医がウイルスに感染していることが判明した．感染外科医 4 人および患者 4 人の血清からの HBV DNA を nested ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅し，HBV ゲノムの 2 領域の直接ヌクレオチド配列決定を行った．別の感染源を除外した．外科医 3 人が最近手術を行ったその他の患者に対しても検査を要請した．

外科医 4 人全員が HBV 保有者であったが，いずれも血清中 HBeAg は検出不可能であった．外科医の HBV DNA のヌクレオチド配列は，対応する患者のものと識別不可能であった．その他に曝された患者のスクリーニングにより，これら外科医の 1 人からおそらく B 型肝炎感染症にかかったと思われる患者を少なくとも 2 人特定した．

検出可能な血清中 HBeAg を有しない HBV 保有外科医は，手術のさいに患者に HBV を伝播しうる．