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January 23, 1997 Vol. 336 No. 4

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市中肺炎の低リスク患者を同定するための予測ルール
A PREDICTION RULE TO IDENTIFY LOW-RISK PATIENTS WITH COMMUNITY-ACQUIRED PNEUMONIA

M.J. FINE AND OTHERS

背景

市中肺炎患者の入院率にはかなりの変動があるが,その理由の一部は,医師が確信をもって診察時に疾患の重症度の評価を行っていないことである.

方 法

市中肺炎の成人入院患者 14,199 人に関するデータの解析から,30 日以内死亡の危険に関して患者を五つのクラスに分類する予測ルールを生成した.1991 年の入院患者 38,039 人に関するデータ,および肺炎患者転帰研究チーム(Pneumonia Patient Outcomes Research Team:PORT)コホート研究における入院患者と外来患者の合計 2,287 人に関するデータにより,このルールの妥当性を確認した.予測ルールは,診察時の年齢,合併疾患の存在,異常な身体所見(呼吸数≧30 回/分または体温≧40℃等),そして異常な検査所見(pH<7.35;血中尿素窒素濃度≧30 mg/dL [11 mmol/L] またはナトリウム濃度<130 mmol/L)に基づいてポイントを与えた.

結 果

三つのコホート中五つのリスクのクラスのいずれの死亡率にも有意差を認めなかった.クラス I 患者の死亡率は 0.1~0.4%(p = 0.22),クラス II 患者では 0.6~0.7%(p = 0.67),そしてクラス III 患者では 0.9~2.8%(p = 0.12)であった.肺炎 PORT コホートにおけるリスクのもっとも低い 3 群の患者 1,575 人では,死亡者はわずか 7 人で,このうち肺炎に関連したのはわずか 4 人であった.このリスククラスは,外来患者として治療を受けた患者がその後入院 するリスクに,そして入院患者では集中治療の利用と入院日数に有意に関連した.

結 論

ここに述べた予測ルールは,死亡およびその他の有害転帰のリスクが低い市中肺炎患者を正確に同定する.この予測ルールは,肺炎患者の入院に関して医師がより合理的な決定を下すさいに有用となる可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 243 - 50. )